魔法理論のハートフィールド先生が、私の弟子になりたいと言いだすという、大ハプニングがあった午前の授業が終わった。私が昼食へ向かおうとすると、アルフォンスが後を追って話しかけてきた。
「アリス、午後の授業は自習だからさ、武術の手合わせをしてくれないかな?」
「う〜ん、着替えを持ってないんだよね。この格好だとちょっと動き辛いから、軽くしか動けないよ?」
「それで十分だよ!アリスの方が僕より強いから、それくらいのハンデが必要だと思うし」
今日の授業は魔法理論と自習だったので、体を動かすつもりはなかったけど、アルフォンスが必死に頼むので、どうしようか悩んでいると、マルクセスが駆け寄ってきて声をかけてきたの。
「武術の自習をするのなら俺も参加させて欲しい。模擬戦を見てから、アリスと手合わせをしてみたいと思ってたんだ!」
2人の男子から武術の手合わせをしたいと言われて、軽くなら手合わせをしても良いかと思っていると、従者たちの後ろに控えていたマリアンヌが、魔力操作を教えて欲しいと言い出した。
「アリス様、その格好では動き辛いでしょう? 武術の手合わせはまたの機会にして、今日は私に魔力操作を教えてください」
アルフォンスとマルクセスは武術を、マリアンヌは魔力操作を教えて欲しいと言ってきた。流石の私も分身はできないので、どちらか一方にしか付き合えない。こんな時にすることはアレしかない。
「えっと、私の体は1つしかないからさ、どちらか一方にしか付き合えないよね。だから【ジャンケン】で決めちゃおうか! 勝った方に付き合うから頑張ってね!」
「「了解!」」
うん、これが一番平等に解決する方法だもんね。勝っても負けても恨みっこなしの、真剣勝負が始まろうとしていた。
「じゃあ、いくよ~、ジャンケンぽんっ!」
マリアンヌが『グー』で、アルフォンス君とマルクセス君は『チョキ』だったので、1対2の不利を物ともせずにマリアンヌが一発で勝利を収めたの。
「私の勝ちなので、午後は魔力操作の練習で決まりですね!」
「マリアンヌおめでとう、昼食のあとは演習場で魔力操作の練習をするね。じゃあ、またあとでね!」
ジャンケンに勝利したマリアンヌに声をかけたあと、私は食堂へ向かおうとすると、負けた2人が私の前に立った。
「「なぁ、その魔力操作に俺たちも参加していいかな?」」
「別にいいよ。2人くらいなら増えても問題ないもん。ご飯を食べたら演習場ね!」
「「ありがとう」」
そんなわけで午後の自習時間は、演習場で魔力操作のコツを教えることに決まった。
「早く食堂へ行こう! お腹ペコペコだよ」
「「かしこまりました」」
早くご飯を食べたかったので、急いで食堂へと向かったのだった。