§イリス視点§
僕がゴミを処分しリーダーを捕らえて、未だに気を失ったままのアリス様の隣に寄り添っていると、アナとリューネを呼んでいたクリスがやってきた。
「アリス様の様子はどう?」
「意識は戻らない。すごく苦しそう……。2人は直ぐに来るんだよね?」
「うん。あと、ミネバとフランシスコにも声をかけたんだ。それで尋問なんだけどさ、ルミナスの森でしたいと言ってるよ」
クリスはアナとリューネ以外にもルミナスの森に居る2人にも連絡をしていたみたい。確かに常に行動をしている2人よりも、冷静に判断をしてくれそうだと思った。
「2人が到着してルミナスの森へ戻るなら、転移魔法陣を準備しないとね。僕がするからさ、クリスはアリス様の様子を見ててくれる?」
「うん、あの2人はどうするの?」
「息があるか確認して大丈夫なら、布でもかけて放置でよくない?」
「うん、判った」
僕がルミナスの森へ戻る準備をする間、クリスにアリス様のことを任せると伝えると、未だに気を失っているゼシカとマリアンヌのことを聞いてきた。最優先はアリス様なので、2人には悪いけど命に別状がなければ放置でも良いと思っている。そのことを踏まえ、クリスに指示を出してから転移魔法陣の準備をする。
僕とクリスが2人を待ちながら戻る準備をしていると、『ガサガサ』と音がしたので顔を向けた。
「「アリス様!」」
険しい表情をしたアナとリューネがやって来ると、ゼシカとマリアンヌには目もくれずに『グッタリ』と気を失ったままのアリスの傍らに寄り添った。心配そうな2人に現状を説明すると、身を震わせながら拘束しているリーダーに怒りをぶつけようとするが、必要情報を聞き出すまでは生かす必要があるので、僕はアナを止める。
「アナ、ダメだよ。そいつはルミナスの森へ連れて行く。そして、アリス様を苦しみから解放するために、邪神と首輪について色々と聞き出すからね。処分するのはその後だよ」
「ぐっ、そうだね……」
「じゃあ、ゼシカとマリアンヌを連れてきて。直ぐにルミナスの森へ戻るよ」
「判った」
熱くなっていたアナを落ち着かせると、僕はアリス様を、アナはゼシカ、リューネはマリアンヌを横抱きに、クリスはリーダーを引き摺りながら転移魔法陣を通ってルミナスの森へ戻った。
僕達が転移すると、屋敷に居る全ての者が待ち構えていて、用意されていたベッドにアリス様を横にすると、フランシスコが直ぐに状態を確認したのだった。真剣な眼差しで首元に手をあて、嵌められた首輪に触れながら何やら呪文のようなものを唱えて、何とか外そうと試みたのだった。