ユーザニア大聖堂からルミナスの森に戻る。
邪神ジャミアを崇める邪神徒ダニエルを捕らえているので、何か有益な情報があるのか尋問する。恐らく切り捨て要員だと思うので、たいした情報は持っていないはずだけど、聞かないよりはましだからね。
尋問をするのは、私、ゼシカ、フランシスコの3人で行うことになった。
捕らえられたダニエルが居る小部屋に入ると、呪魂の首輪が外れた私とゼシカの姿を見て、ダニエルは驚きの表情を見せながら声を荒げた。
「馬鹿な! どうしてお前たちが……、あの首輪は何人たりとも外すことが不可能なはずだ」
確かに呪魂の首輪は、七神女神様の力を持ってしても外すことは不可能だった。本当なら私たち3人はあのまま命を落としていたんだろうね。それ程までに邪神ジャミアの力は強大なものだったけど、私には神話級スキルの拒絶を持っていた。ヤツがこの力の存在を知らなかったことが幸運だったね。
「そうなの? 少しだけ苦労したけどさ、この程度なら問題はないんだよね。邪神なんていっても底が知れてるね」
「不意つく時点で、邪神はルミナス神アリス様より劣っているのです。あなたは信じる神を間違えましたね」
「そんな……、俺は……」
本当はかなり危なかったけど、余裕の笑みを浮かべながらダニエルの精神を削る言葉を放つ。続いてフランシスコが間違った信仰心を指摘すると、ダニエルはガックリと肩を落として、項垂れることしかできなかった。
「邪神ジャミアについて、些細なことでも知っていることがあれば教えてくれない?」
「俺の故郷は辺境の地で、邪神ジャミア様が奇跡を起こして下さったと親父から聞いたんだ。この黒い石が送られてきてから、毎日のように祈りを捧げていたら、お前を殺せと天啓が下ったんだ」
懐にしまっていた黒い石を手にとって見せてくれたが、鑑定しても何の変哲もないただの石だった。ダニエルたちは私を殺すためのただの捨て駒で、ジャミアに繋がるようなものは何もなかった。尋問といってもすでに聞くべきことは無いと思ったフランシスコが、ゴミを捨てるかのように冷たい言葉を放った。
「アリス様を亡き者にするための捨て駒といったところでしょうか? この者から得られるものはなさそうですね。悪意ある者は処分すべきだと思います」
「悪意ある者なら同じ過ちを繰り返すでしょう。私もフランシスコの意見に賛成です」
「まっ、待ってくれ! 騙されただけなんだ」
2人から処分と言われたダニエルが、必死に命乞いをする。私はその姿を見てもなにも感じることはなかった。私も悪意ある者が改心するとは思っていないので、2人の言う通りに処分することにした。
「私も同意見だよ。コイツは私の世界には必要ないから処分だね。
「あっ、あぎゃあああ!」
魔法を唱えると、目の前の不要物は一瞬で灰となり私の世界から消滅したのだった。