「ここがAクラスか」
魔力測定が終了し、俺達は今Aクラスの教室にいる。
そして教室は、前世で通っていた学校とは全く違った。
まず広さが違う。
普通の学校の教室よりもかなり広く、机や椅子も高級品なのか、とても座り心地が良さそうだ。
「さすが魔法学園、色々とすごいな」
俺は辺りを見渡していると、見覚えのある人物と目が合う。
その人物は近衛騎士団の隊長、セシルだった。
まあセシルの魔力数は2000ぐらいだし、Aクラスに入って来るのは予想していた。
「よし、そろそろ何処かに座るか」
「はい、私はロラン師匠の隣がいいです」
「私もロランお兄様の隣がいいです」
そう言って俺の両サイドに座ってくる2人。
俺はそんな2人の頭を撫でながら席に座ると、教室のドアが開き生徒が1人入ってくる。
「ははは! ここがAクラスか!」
そう高笑いをしながら入ってきたのは、アデルだった。
アデルの登場に教室内がざわつく。
(第二王子のアデル・レット・ハーキム様よ!)
(流石、第二王子だけあって、風格も凄いですわ!)
(だけど魔力数600って噂だけどね)
俺の時は静かだったのに、アデルの登場には騒がしくなる教室。
「さてどこに座ろうか……な!?」
そんな事を呟きながらアデルは教室を見渡すと、俺の存在に気づく。
「な、何でロランがリア達と座っているんだ!」
アデルはそう言って俺を睨んでくる。
すると横に座っていたリアが立ち上がり、アデルに言う。
「私はロランお兄様と座りたいから座っただけです」
「な、何でだ!? そいつは怠惰な無能の王子だぞ!?」
「そういう発言はやめて下さい、アデルお兄様」
アデルの言葉に、リアは怒りを露わにする。
リアがここまで怒るなんて珍しい。
原作でもほぼ怒らなかったあのリアが、だ。
アデルもリアの迫力に気圧されたのか、たじろぐ。
クラスの皆もリアが怒っていることに驚いている様子だ。
「く、くそ、何で俺が!?」
「さっさと、何処かに座ったらどうですか? アデルお兄様」
リアはそう冷たく言い放つ。
そんなリアに気圧されたのか、アデルは俺から離れて、教室の端の席に座った。
俺はそんな2人のやり取りを見て唖然としていた。
まさか原作であんなに仲が良かった2人が、ここまで険悪な関係になるなんて思いもよらなかったからだ。
俺は顔を引き攣らせながら周りを見ると、クラスの皆がリアに驚きの眼差しを向けている。
そして後ろの席に座っているアリスとセレスも、リアを驚いた表情で見ている。
流石にリアがここまで怒るなんて想定外なんだろう。
「すみません、ロランお兄様。勝手なことを言ってしまい」
リアはそう俺に謝る。
「いや、いいんだ。俺のために怒ってくれたんだろう? 俺は素直に嬉しいよ」
俺はそう言いながら、リアの頭を再び優しく撫でた。
するとクラスの皆が俺達を見て話し始める。
(驚いたわ、あのリア様でも怒ることなんてあるのね)
(そうね、それにあのアデル様にあんな態度を取るだなんて)
どうやら皆は、今のリアを見て驚いているようだ。
教室の隅にいるアデルは俺を睨みつけながら、何かブツブツと呟いている。
「俺の学園生活、大丈夫だろうか?」
俺はため息混じりにそう呟くのだった。