「話が違う! エアプレイスの正確な位置は伝えればいいと言ったのは貴様らだろう!」
「ギギギ。違ワヌ。我ラハ“魔剣ユーデス”ノ正確ナ場所ヲ教エロト言ッタ」
まるで髑髏とサソリのような節足動物を合わせたような、気味の悪い魔物がそう言う。
「墜落する前に私も連れて行け! 剣魔帝の元に! 直接話す!」
「ソレハデキン」
「なんだと? ディガジュ! 貴様では話にならんと言っているのだ!」
「黙レ! フィーリー! 貴様如キ人間ニ、魔道のチカラ、本当ニ与エルナドト思ウタカ! 笑ワセル! 貴様ノ様ナ奴ハ“オメデタイ”ト言ウノダ!」
「なんだと!」
「ギギギ! 無知ハ罪ヨナ! コノ愚カナ空中要塞ト運命ヲ共ニスルガイイ!」
ディガジュの背に、トンボのような羽根が生え出る!
「ディ・ディ・ディガジュゥーッッ!!」
奇妙な雄叫びと共に、ディガジュは火の玉のようになって飛び立って行ってしまう!
「クソッ! 待て! 私を置いて行くな!」
軋む音とともに、空中要塞の床が不安定に揺れる。炎の手はすぐそこまで迫っていた──。
──
……いま思い返しても腹が立つ。
デモスソードは私との約束を反故にした。
「魔道の力……それさえ手に入れば」
しかし、そうだ。魔剣ユーデス。
あれが私の手に入れば、もはや剣魔帝などという怪物に手を貸す必要もない。
「……だが、レディー・ラマハイムめ。まさか生きていたとは」
神経も魔路もズタボロの廃人にしてやったはずだ。
あの剣魔帝の襲撃で、戦士長と共に確実に死ぬ予定だった。
レディー・ラマハイムは確かにエアプレイスの巫女となる存在だ。
だからこそあれだけ念入りに、手間暇をかけて……クソが。
しかし、あの海に墜落した空中要塞から脱出できたということは……
まさか、魔剣の力を操れるのか?
もしそうだとしたら用心せねばならない。
「しかし、最後に笑うのは私だ……。魔剣を我が物とするためにはなんだってやってやるッ」
──
冒険者ギルドで、チーム名の書かれたプレート札を見たフィーリーが固まる。
「…だ、“ダブル…パイパイ”…?」
「もう。レディーったら……」
ウィルテが腕を組みながら、ため息混じりにアタシを見やる。
「目立つからってそんなチーム名にしたのよね」
は? はぁぁぁッ!?
この女ァ! アタシのせいにしやがったッ!
「…ふたり
「…クッ! そ、そうだったかなぁ〜?」
「そうだったよなァ!」
アタシとウィルテは額をぶつけて睨み合った。
「……改名は」
「できないわよ」
受付のローラさんが無情に言い放つ。
「……そ、そうですか」
フィーリーが軽くよろめく。
「大丈夫? フィーリー?」
「え、ええ。なんてことは…ありませんとも」
「無理してない?」
「いえ、なんだって……やります。その覚悟ですから」