ヌゲ?
アタシは頭の中が真っ白になる…
ユーデスが何かガタガタしている。
「えっと……マントを?」
「違います。全部です」
ハハ。まあ、そうだよね。
脱げっていうのは全部に決まっているよね。
該当の下はビキニアーマーだし、すぐに……
って!!
「ふざけるなぁッ!!!」
「ふざけてなどいません」
アタシが怒るのにも、フィーリーは顔色一つ変えない。
「いや! フィーリー!」
「ウィルテが脱ぎますにゃ!」
「そういうことじゃない!!」
いつの間にかマントを脱ぎ捨てて、ブラのホックに手をかけているウィルテの足を踏んで止める。
「別に変な意味ではありません」
「変な意味じゃなくて脱げってどういうことだよ!?」
そうだよ! 男の部屋に呼ばれ、脱げなんて言われたらそういう意味しかないでしょ!!
……ま、まあ、デヴで根暗だったアタシにはそんな機会なかったし! 経験もないけれどもさ!
「……勘違いしないで下さい。私は貴女にはほんの少しも、わずかにも、コンマ1ミリも興味がありません」
……む。それはそれで傷つくな。
いや、別にアタシだってそんな風にフィーリー見たことないですけど!
「……一時的にではありますが、貴女の魔路の活性を促します」
「え?」
フィーリーは瓶の蓋を開き、中身をすり鉢の中に注ぐ。
そしてゲテモノを……うげ、ムカデみたいなのとか、コウモリみたいな羽とか、長い髪の毛みたいなの入れて、潰して混ぜてるんですけどぉ!
「私の流剣派の師は、医薬学に精通したマスターでもあります。私の医療の腕前は師ほどではありませんが……」
「ってことは…」
「不浄脈により乱れた魔路を修復するには時間がかかります。しかし、路線の要点に物理的な刺激を与えることで、擬似的に活性化させることが可能です」
フィーリーはそう言って腕まくりする。
えっと、言っていることはよくわからないけれど……つまりは、ツボをマッサージするみたいなことするってこと?
「でも、その…すり潰した物は?」
「特効薬とまではいきませんが、私が今作れる療法薬です。
外と内からの治療による相乗効果を狙い、レディーの魔路を本来の姿に戻します」
「ということは、やっぱりアタシにそれを……」
アタシが後退ろうとすると、ウィルテが後ろから羽交い締めにしてくる!
「レディー! ここは我慢にゃ! この町を守るためにゃ!」
「イヤだー! 絶対にイヤだー!」
「大丈夫です。苦味は多少ありますが、一気に飲み干せば……」
「一気にいけるか! 絶対に固形が残ってるでしょ!」
そうだ! 潰したあのゲテモノがサラリとした液体になるわけがない!
げ! なんか紫がかった灰色…どー見ても人間が口にしていいもんじゃないし!
それにここまで変な酸っぱそうなニオイ漂ってるし!
「仕方ありません。ウィルテ。レディーをそのまま捕まえて置いて下さい」
「はいにゃ!」
「オマエら! ふざけるなぁ!! ユーデス! 助けて!」
(ゴメン。僕もちょっと、レディーが脱ぐとこ見たくて……)
クソー! あの剣! 絶対に良からぬことしか考えてないぞ!! 薄情者め!!
「はい。では、息を止めて」
「止めろ!? なんで!?」
「鼻腔がやられるからです」
「は!? そんなもん飲ませようと…クッサー!」
「ひ、ひどいニオイにゃ…。レディー。ご愁傷さまにゃ……」
「ヤ・メ・ローーー!!!」
アタシは口の中に、そのトンデモナイ物が流し込まれ──