目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第7話 学校に行くぞ!!!

「きゃーっ! 可愛いわノエル! ほらルト、エルマー? あなた達のお姉ちゃんをしっかりと目に焼きつけるのよ!! これからウィンターホリデーとサマーホリデーの時でしか会えないんだから!!」



「あう~!」


「きゃっきゃ!」


「当然だ、俺の娘に似合わない訳がない」



 そう大絶賛する両親に私は「お、親バカも大概にして欲しいんだけど!! 恥ずかしいからやめてくれない!?」と言うと、何故かお父さんとお母さんと二卵生の双子のルト、エルマーがニヤニヤとした顔で見てくる。ねぇちょっと、妹と弟? もしかしてだけど言葉通じてるの?? 



「レイゼルくんもそう思うわよね?」



 お母さんはそう言うと、制服に着替えてやって来たらしいレイゼルの傍に行った。聞かれた本人は後から来たからか、何の話か分かっていないようでお母さんに「えっ、何の話?」と聞き返していたけれども。



「制服を着たノエルは可愛いわよねっていう話」


「えっ、マジで!? 早く見たい!!」



 お母さん越しにたぶんソワソワし始めているだろうレイゼルに、お母さんは何かに気になった様子で話しかける。



「それにしても今日はいつもとちょっと違うわね、学校デビューだからかしら?」


「あぁお義母さん分かっちゃった? どう? 似合ってる? 俺カッコイイ?」


「えぇ、とっても!」



 まぁ、レイゼルは顔だけは良いし。って、お母さんお願いだから早く振り向いて!! お父さんが「ほぅ……?」って、言いながら何処からか出してきた鞭を握りしめてるんですが!! 今すぐ「ノルトさんには叶わないけれど♡」って言わないと!! 






 ……ん? 待って、違う!! 


 後ろ姿で顔が見えないから分かりづらいけど、これ分かっててやってたヤツだ!! だって体プルプルしてるもん、後ろから感じる冷気に感じちゃってるヤツだもん!! 


 お仕置を所望してるんだコレ、絶対そうだ!! 


 きっと今夜は特に激しいんだろうな……今日から入学式でもう家には中々帰ってこれないから、たぶん色々凄い事されてそう。…………おい待て、想像するな私。



 それからレイゼルはお母さんが邪魔で見れないのか、スッと横に移動してチラッとこっちを見てくる。その瞬間、大して私は学校デビューしようとしているらしいレイゼルの方をよく見れずに、勢いよくやって来た本人は私を抱きしめてきた。



「んぶっ!?」


「あ~~~っ♡ 可愛い!! 俺のノエルめっちゃ可愛いっ!!! それに久しぶりにスカート履いてるっ!!! でもなんでそんなに丈が短いんだよぉ!! しかもニーハイの絶対領域でちょっとムチっとした足にくい込んでるしさぁ!? 何で俺の幼馴染がこんなにエロ可愛い訳?! 犯罪級だろ、エロ過ぎる罪で逮捕して種付けの刑にするぞこの〜♡♡」



 そう言いながらレイゼルは勃起したちん……を押し付けながら私の尻を揉んでくる。おい、当然のように尻を触るな。殺すぞ。



「離せ変態!!」


「はぁっ♡ ノエルの手が俺の腕強くギュってして、足が俺の足にグリグリしてるっ♡ それでなんかミシミシ言ってるぅっ♡ 俺勇者で鍛えてるのに好きな女の子の手と足でダメージ入れられてるんだけどっ♡」



 それからとても名残惜しそうにレイゼルは手を離すと、私に顔を合わせて「どう? 何点?」と聞いてくる。どうやらレイゼルは髪をセットしてワックスとか付けてアレンジしてみたらしい。


 グッ……カオガイイ!! 


 その顔面凶器を私に見せつけるな!! 似合ってるよちくしょう、お前の中身知らなかったら惚れてるところだったぞ!!! 



「……-8」


「マイナス!?」













「ⅹ-9……」


「えっ、つまりそれって72点!?」



「+2(4+10)」


「!! ノエル……俺とセッ○スし──」




 メキャッ




「小説でちょっと久々感ある愛の鞭っ♡♡♡」








 今世で初めて学校に通う事になる私はちょっと緊張しながらも、レイゼルと一緒に校門を渡る。校門には学校名が刻まれていて、私達がこれから5年間通う事になる"国立 国際 ワールブルク学園"の校門を……全力ダッシュで通り過ぎた。


 と、言うのも……。




 ~・~・~




『勇者様! お初にお目に見えて光栄ですわ、私はアルダン家──』


『私はメニエール家長女のナリ──』


『写真などでお姿を拝見していましたが、ご本人の貴方はまるで太陽のような美しい髪と本当に何処までも澄み渡った快晴のような美しい眼を──』



『いや、待って待って待って!! そんな次々に話しかけられても返事できないし、距離が近いって! ……というか! 胸当たってるから離れ──あっ、ノエル!!』


『うわっ!?』



 おそらく親からの差し金でレイゼルを落とそうとしてくる貴族の令嬢達(みんな胸が大きい)の大群によって、レイゼルはあっという間に揉みくちゃ、沢山の山にギューギューに押し付けられ……私はその大群から弾き出され、思いっきり転んだ。


 というか、明らかに「邪魔!!」と言わんばかりに引き離されたし、体を押されたね。めっちゃ悪意と敵意感じた。



『ノエル、大丈夫か?』



 令嬢達をかき分けながらレイゼルはやって来ると、私にケガがないか確認して私に笑顔で手を差し伸べてくる。……本当にこの勇者、顔が良いせいか何してても絵になるな。あの残念過ぎる変態チックな恍惚とした顔にさえならなければ。


 ……ちょっと心臓の辺りがきゅってしたけど、気のせいだ。こんな変態相手にときめきメモ○アルGirls sideなんてしてない、ぜんっぜんしてない。



『んへへ~』


『何、そのニヤニヤニマニマした変な顔』



『んー? いや、今日もノエルは素直じゃなくて世界一可愛いなって──』



 ギリギリとレイゼルの手を握り潰すようにして掴むと「んふぅんッ♡」と一瞬でカッコイイ幼馴染から、小さく喜ぶ声を上げる変態に化す。……なんかちょっと安心した、だってこんな変態に私がときめく訳ないからね。うん、そう。


 するとご令嬢達はレイゼルに駆け寄った私を一瞥すると、表面上はあくまでにこやかにレイゼルに話しかける。



『勇者様そちらの貧相──、一般庶民の方は一体?』



 おいテメェ、私の胸の事を言ってるんじゃあねぇだろうな? 胸では叶わねぇが、私は過去に勇者を天井に突き刺した事がある。テメェにはその覚悟ってもんがあんのか? ねェ~だろうがッ!! ならテメェのその乳、もぎ取ってそこらの野良犬にでも食わせてやるぜクソビッチ共がよォ~~~~~ッ!! 


 今なら私、ジョ○ョ立ちしてたらその拍子にス○ンド出せそう。


 そう思っているとレイゼルは笑顔で私を抱き締める。



『俺の世界一可愛くてむっつりスケベでエロくてこの幼児体型に付いてるちっぱいと胸元のほくろとツンデレがチャームポイントな俺の幼馴染!』


『ちっぱい言うな!!』



『それで……前に将来結婚する約束をした仲の、俺のフィアンセというか? もうノエルの両親からは託されてるって言うか、沢山の孫を期待されてるっていうかなんていうか……♡』



 テレテレ。


 レイゼルからそんなオノマトペが聞こえてきた気がした。



『はぁ!? そんなの何時した!?』


『10歳の誕生日の時にずっと一緒に居るって約束したじゃんか!』



『えっ、あれそういう意味でもあったの!??』


『そうだけど? じゃないとノエル、うんって言ってくれないと思ったし……何より言質は取ったからな!』



 嘘だろorz


 若干放心している私にレイゼルは構わず私のプロフィール……というよりも特に恥ずかしい事の暴露といかにレイゼルがヤバいか、私でも知られざる何をしていたのかの情報を勝手に公開し始める。



『誕生日は5月8日で、好きな食べ物はハンバーグと甘いお菓子! 可愛いよな……俺がトロトロに溶かして甘々にしてノエルを食べたいくらい♡ 好き事はオ○ニーでいつも夜にずーっとイジめるのが好き♡ 最近パンツがちょっと大人っぽいの買って貰えるようになって、前とは違ったエロさがあって可愛いから、いつもチ○コが勃つからいい意味で俺が困るんだよな♡ 風呂の時に最初に洗うのはお腹から丁寧に洗うんだけど、その時に未だに毛が生えないツルツルま○こ洗ってる時にムラムラして中も綺麗にゴシゴシ(意味深)しちゃうとこが好き♡ そこが本当にエロ可愛くてさ~♡ 昔俺がお風呂場での事を思い出しながらずっとオ○ニーしてるのが本当に一途でエロくて可愛いよな♡ 今でもちゃんとその時の様子は映像で残して何回も見てるんだけど、思い出すだけでもすぐに勃つのに見たら何回もそれで抜いてるのに、すぐチ○コがありえないくらい反応するんだ♡ いつも寝る時ノエルは仰向けなんだけど、寝る時にノエルに添い寝してぎゅーっ♡ ってすると無意識にちょっと横向き気味になって俺の事抱きしめてくれんの! それでその時に「俺のこと好き?」って聞くと聞こえてるのか、寝ぼけて「んん……すき」って言ってくれるんだけどさ、正直ハ〇撮りになって襲わないようにしながら映像記録用アーティファクトで可愛いノエルを撮るのが大変だったな~♡ セッ○スする時は睡姦でするのも捨て難いけど、やっぱりちゃんと俺の事を見ていっぱい感じて「レイゼルの事好きなのっ♡ すきっ♡ もっといっぱい突いてっ♡」ってベッドの上で素直になったノエルが幸せそうに泣きながらイッてほしいし──


(長過ぎたので一部割愛)


 ──今も昔も好きな男は俺で、初めての相手も俺(になる予定)で俺も初めてはノエル(の予定)で、ノエルのオカズも大体俺だし俺は全部ノエル♡ 俺といつか結婚していっぱい俺の物って証を付けて俺の子をいつか沢山産んでもらうんだ~♡ 今からでも子供の名前を何個か考えてるんだけど、どんな名前にしようか本当に迷っててさ、どんな名前がいいか何か案あったら教えてくれよ! それでノエルにはもっともっとも~~っと可愛いところがたっくさんあるんだけど、その中の一つにちょっと子供っぽい所があってさ~! ご飯食べる時もちょっとだけ口の周りが汚れてるんだけど、それ言うと「えっ、嘘!? ほんと? 何処に付いてる?」って聞いてくるから可愛くて!! ぺろぺろして舐め取った後でエロいキスをついでにしようとしたら、ノエルは照れ屋で素直じゃないから「やめろ!!」って言いながら俺の事殴ってくるけど、本当はエロい事が大好きなむっつりドすけべだから心の中でちょっと期待してる顔するんだ、これはもう(いつか)俺のチ〇コ欲しさに今夜 (にで)も素直になってもらうしかないよな♡ (想像するだけでも)ほんと可愛いかったんだよな~~♡♡ その時(妄想の中)のノエルは♡♡♡


 あとは去年の誕生日の時と、小さい頃にノエルのお風呂中に俺が乱入した時も本当に可愛くて──』


『け、結構! もう大丈夫ですわ勇者様』



『えっ? 何で?? 可愛い可愛い女神みたいな天使、俺のノエルの事が知りたいんだろ? まだ10分の1以下しかノエルの話をしてないけど???』



 そう言うレイゼルに貴族の令嬢達は思わず貴族の女としての武器笑顔が剥がれ落ちた。


 だってこの勇者レイゼルを女の武器で落とそうとしたら、まさかのこういうタイプのバケモンでヤバい男だとは思わなかったからだ。令嬢達の表情が無になる。あぁ……私の恥ずかしい情報と共にレイゼルの噂が学校中で広まってしまうのか。だってこいつ一応勇者だし、ずっと田舎暮らしだった勇者が都会の中心地に近いこの名門学校に来たんだぞ……。


 絶対に噂にならない筈がない、そして悪目立ちする!! 私も!!! 



『そ、その方が可愛らしいのはよく分かりました』


『へへ、だろ? でも本当に可愛いのはここからで──』



『で、ですが!! その話をしたら入学式に間に合わないのではないですか? というか、もう時間がそろそろなくなってきたのですが……』


『あっ! 確かに!! 5時間あってもノエルの可愛さは伝えきれないからな~……じゃあまた今度時間がある時にでも、ノエルの可愛さを俺がいっぱい教えてやるからな!』



 ちょっ、レイゼル? 令嬢達がドン引き、というか軽く絶望してるから。


 某片翼の天使みたいに何でもかんでもすぐに絶望を与えちゃダメだから。ちょっとその子達に同情すら覚え始めてきたくらいだよ、せめて思い出の中でじっとするまでその気持ちを留めておいて。きっと思い出にはならないんだろうけど!! 



『ふ、うふふふ……勇者様、貴族には貴族としての仕事があるのですよ』


『ん? そうなのか?』



『ですので、その話はあまり今後もできないかもしれませんわ。話が止まらないくらい、そこに居る方が可愛らしいのでしょう?』


『そっかー、じゃあ仕方ないな!』



 違う、レイゼルそうじゃない。


 その子たぶん「その話をすんのはもうやめろ、気持ち悪いな」って言ってるんだと思う。というか今、そいつ私の胸を見て可愛いって言ったな? おい、さっきの同情消え失せたんだが?? 今お子様サイズだからそういう意味で可愛いって嫌味を言ったな? おい、その胸がどうなってもいいのか??? おいおいおい???? 



『ではこれにて私は失礼致します』



 あ、逃げた。皆令嬢達離れて行ったな、きっと今頃どうやってこの勇者落とそうか頭の中でう○るちゃん会議みたく議論してるよ。多分、会議の進行はナメクジ以下だろうけど……というか、時計見てみたら本当に時間無いじゃん!! 



『よし、じゃあ早く遅れないように行こう! 俺、学校行くの初めてだからすっげー楽しみ!』



 まぁそれはそうでしょうよ、今世では私も初めてだし魔法学校でもある訳だから、内心私も緊張してはいるけれど。……それにしてもなんだか、レイゼルの言葉にはもっと深い意味がありそうな気がする。目の奥の方がなんかキラキラしてて、本当に楽しそうだし。


 学校ってウィン○ーディアムレ○オーサを習う授業みたくやるのかな……。大体の魔法は優秀なお父さんからレイゼルと一緒に教えて貰ってはいたけれど……何処までそれが通用するのか、なんだよね。


それにしても、本当に楽しそうだな……レイゼルの表情が凄く眩しく感じる。



『ノエルを狙わなさそうな良い奴と友達になりたいな~!』


『ちょっと何時まで私にくっついてるつもり?』



『えー、でもこうしてないとノエルに他の男が寄ってきそうだし……ノエルは本当に可愛いんだぞ? ちゃんとそこら辺自覚してるよな?』


『……まぁ、ちょっとくらいは(でもそこらで歩いてる子達ですら可愛い上に胸が平均でEだから、普通に自信なくす……現在進行中で)』



『じゃあ早く校門を通って──』



 その時、横の方から馬の嘶きと蹄の音が聞こえてきた。その方向を見てみると、やけに豪華で赤と金の派手派手な馬車が突っ込んでくる。高そう。






『うぉっ!? ノエルこっち!』


『あ、危なっ……!?』



 レイゼルが手を引いてくれたから轢かれることは無かったけど、死ぬかと思った!! ちょっとこの馬車を引かせてる御者さん誰? 危ないんだけど!? 





『着きましたよ、殿下。では行ってらっしゃいませ』


『うむ、ご苦労だったな下僕その1。今日も完璧な鞭さばきだったぞ、次もこの僕様の為にこれからも安全運転で頼む』





 ……なんか、今御者の人殿下って言わなかった? というかさっきの何処が安全運転だった訳?? 



 つまりこの派手派手カラーでやけにロイヤルな馬車だなーとか思ってたけど、乗ってる人王族だったの?? 


 まぁ馬車の向こう側に立っているだろうから顔は分からないけど……レイゼルは何故だか『うわ……よりによって会うのがコイツかよ』って言いながら頭を抱えていた。すると馬車はダダダダダッと、砂煙を起こしながら去っていく。



『おい! 偉大なる父上、ウィリアム王の息子であり、王位継承権第一位であるこのオリバスに向かって、何たる無れ……い』



 馬車が去っていった事でその殿下の姿が見えるようにはなったけれども、その後ろ姿のシルエットは忘れたくても忘れられないものと全く同じだった。


 隣にはロリが四つん這いで犬耳のカチューシャやら、犬尻尾のアナルプラグまで入れられた子が居て、殿下はそのこの首に付けられた首輪とリードをにぎっていた。


 そしてそれが振り返った瞬間……私とその王子様は固まった。



『久しぶりだなーでも俺達遅れそうだからじゃあなー』



 棒読みでレイゼルは私の手を引きながらそう言って通り過ぎようとするけれども、その殿下は通り過ぎる直前に私の手をガシッ! と掴んで跪いた。



『う、美しい……まるで月の女神リーゼフィア様のような佇まいだ! あぁ、いつまでも彼女が太陽の男神ケルロー様と踊ったとされる舞を、そなたと共に踊り明かしたい……』



 何言ってんだコイツ!? 


 いや、本当に何言ってんだコイツ!?? 意味が分からんのだが!??? 



『殺す(ノエル、大丈夫か?!)』



 するとレイゼルはその意味をどうやら知っていたようで、物凄く黒い殺意が溢れ出して王子を今にも殺しかねない目で見ていた。加算・発光レイヤーの不透明度が0になった目が怖い。というか、心の声と言ってる事が逆な感じがするのは気のせい?? 


 そして私は目の前の……あの王様そっくりで、私よりも背が低くて王様と同じくふくよかな体型の王子に、私は意味の分からん口説き文句的な物を言われていると……。



















 チビデブは私の手の甲にいきなりキスをした。



 トラウマの再来フラッシュバックによって私の頭の中を襲う。けれども吐く前に私の体……いや、手はその殿下の頬にめり込んでいた。


 ……つまりビンタで、多分この時は光の速さで私の手が動いた。




 バチ──ンッ! メキッ ズサ──ッ ドンッ! 




 王子の風船のような体から骨が折れるような音が聞こえると、それから吹っ飛んでいき地面とディープキスをしながら顔面スライディングをして、それから壁にぶつかってめり込んだ。



『『『殿下────ッ!?』』』



 隠れて見守っていたらしい護衛の人達はすぐさま王子の所に駆け寄って現れると、それからビンタをした私を囲い込む。




『貴様ァッ! 殿下に手を上げるとは!!』


『気持ちは分からなくもないが!! 何故やった!!!』




 分からなくもないんかい、普通に護衛の人達から見てもやっぱりそうなんかい。



『あまりにも酷い嫌悪感と吐き気、それから見るにも耐えない・きたない・遠慮しないの"3ない"をオールクリアした豚が居たのでつい……』


『ノエル!! それ思ってても言ったら駄目だから!!』




『レイゼルもさっき殺すとか言ってたよね?』


『ごめ~ん、身に覚えが全くないな~(棒)』



『きっ、貴様ら~~~ッ!!』


『勇者とその想われている女だからといって、なんてそんな無礼な発言を!! 羨ましいッ!!!』



 羨ましいんかい!! 



『もし貴様らが勇者と(以下略)でなければ、処刑されていた所だったぞ!!』


『その場合は我々が「よくぞ言ってくれたな、お前達こそが勇者だ」と褒め称えて心の中に一生、生き続けていたがな!!!』



 ……護衛さん達がこのままだと処刑されない? これ。



 すると壁にめり込んでいた王子が護衛の人達の半数によって引っこ抜かれると、頭から噴水のように血を流して……。


 何故かハァハァして近寄ってくる。


 ま、まさか目覚めた? そっちに目覚めたの?? 















 ちょ、待てよ。


 私の心の中のキ○タクが再び現れた。
















『そ、そなた……はぁはぁ♡ 名を何と申す……僕様は、この国の国王で有らせられる──』


『いやそんなに何度も言わなくてもそれくらいは知ってます……それと血が付くので近寄らないでくれませんか』



『お゛ほぉぉぉおっ♡ お゛ぉ~~っ♡♡』



 すると殿下チビデブがビクンビクンして、それからスンッとした顔になる。おま……まさか、今出てる?? って事は殿下チビデブ殿下チビデブがお元気になっていたということに……。全然分からなかった、もしかして小さいのかな。でもそんな事よりも──



『うわ、キモ……』



 そう言うと王子はまた元気になったらしく、あまりにも下品じみた顔で迫ってくる。



『そ、そなたを僕様の正室に……♡』


『死ね』


『いや無理無理無理ッ!! キモイキモイ!! 本当にやめて、来ないで!!!』



 レイゼルは重力の魔法ラグビティで王子を地面に這いつくばらせ、私は全力で王子を拒否すると『お゛っ♡ 良いッ♡♡ 前までは女に敷かれる男の気持ちを理解する事は生涯において無いだろうとは思っていたが、痛みと罵詈雑言を浴びさせられ、汚物を見るような目で見られる事がまさかこんなにも甘美な快楽だったとはっ……♡ 僕様はたった今この女──いや、貴女様に分からされたのかっ♡♡♡ 』と言いながら、重力魔法がかかっているというのに、自衛隊よりも速いかもしれないほふく前進でどんどん近づいてくる。


 あの王様とそっくりな顔が気持ち悪い顔でほふく前進しながら迫ってくる事に恐怖を感じて、冷や汗が毛穴という穴から吹き出た。



『レ、レイゼル逃げよう!! 今すぐに入学式の会場に逃げよう!!!』


『チッ! いつか絶対にミンチにしてやる!! ノエル、行くぞ! それに本当に入学式に遅れそうだし!!』




 ~・~・~




 と、いうことがあって私とレイゼルはあまりにも気持ち悪い王子から逃げる為に走って校門を出ていたのであった。



「えっ……私はどうすれば」



 そこに残されたロリを置いて。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?