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大谷翔平の犬、コーイケルホンディエっていうんだ

 いぬってかわいいよね。


 毛むくじゃらだよね。


 よしよししたいよね、されたいよね。


 世の中にはいろんな犬種がいる。柴犬、プードル、コーギーチワワダックスレトリーバーえとせとら。


 未確認の犬種も含めると1000種超えるんだって。


 でもね、これだけ犬種が増えたのはごく最近なの。


 人がね、いろんな目的のためにいろんな犬種をつくったの。


 仕事のためより大きく強い子。


 人に好かれるためより小さくかわいい子。


 いろんな子が生まれた。やりかたはイチゴとかお米とかといっしょ。いろんな子から特定の特徴をもつ子だけ選定して、その子たちを作ってく。そういう連続で、今の犬種がある。


 とにかくかわいければいいから彼らの健康なんてどうでもいい――そんな人の都合のせいで、犬種にはいろんな遺伝関連の病気もあったりするけど、今回はそういう話じゃないんだ。


 だって、どうせ読むなら明るく楽しい話のほうがいいでしょう?


 大谷翔平選手っているじゃん?


 野球界のスーパースター。誰よりもホームランを打って、誰よりも速い球を投げて、野球の世界最高峰であるメジャーリーグで活躍してる。


 そんな彼がいっぴきの犬と暮らしてる。


 なまえは『デコピン』。いろんな情報を見てみたら、たぶんみんながイメージするアレに間違いなさそう。


 これ英語圏のひとにとって発音がむずかしいの。だから、彼はアメリカ人に説明するとき『デコイ』と犬の名前を言うんだ。


 でもこの名前、とってもあの犬にお似合いだと思う。だって、彼はまさにその仕事のために生み出された犬種なのだから。


 ってことで、今回は大谷翔平選手といっしょに暮らすわんわん『コーイケルホンディエ』についていろいろ書いていこうか。






:かしこいあざといでこい歴史:


 コーイケルホンディエ。英語だと[ Kooikerhondje ]、というかこれもともとオランダ語。だってこの子はオランダで生まれた犬種だもの。


 ながーい単語のようだけど分けてやればかんたんに理解できる。


・Kooiker = カモ猟

・hondje = 犬


 前半のKooikerはアヒルなどを捕まえるための[ Kooidoorn = 罠の檻 ]が語源。この罠を使う人たちはクーイカーと呼ばれていて、その人たちが使役していた犬がそのままクーイカーの犬ってこと。


 オランダ語で犬は[ Hond ]だけど、小型犬のときは[ Hondie ]になる。つまりカモ猟をしてる人が連れてるちっちゃいいぬ = クーイカーホンジェ。


 これの英語読みでコーイケルホンディエになったんだね。


 オランダでも古いタイプの犬種なのです。17世紀の絵画ではよく登場するレベル。


 文献では1572年、オラニエ公ウィリアムという軍人が、犬のおかげでスペイン軍の攻撃から逃れることができたというエピソードがある。


 猟犬としても活躍してました。アヒルやらなにやらを罠に追い込んだり、あるいは自分が目立つことで人が獲物に近づきやすくしたりする。これ、専門用語でトーリングTollingと呼んだりする。


 古くからいた犬だけど、囮猟が盛んでなくなった20世紀に数が減少。このまま絶滅するのも時間の問題だったんだけど、そこでとある人間が登場しました。


 ハーデンブローク・ファン・アマーストール男爵夫人です。ここテストに出るから覚えてねー。


 20世紀、あと第二次世界大戦などの影響もあり、この犬種はほぼ絶滅してたようです。それでも男爵夫人は諦めず、この犬種の毛と行商人の情報網を借りてなんとかコーイケルホンディエを探し出し、同じ犬種同士を交配させ『トミーTommie』が誕生しました。いま地球上のコーイケルホンディエくんの祖先はこの子とされてます。


 戦時中でもこのわんわんを愛していたが故の尽力だね。






:こんないい犬種なのになぜ日本で人気ないのか?:


 今でこそショーヘイ・オータニ効果によって有名になったコーイケルホンディエですが、わたしはそれ以前から「なんでこの子日本で人気にならん?」とつねづね疑問に思ってました。


 大型犬ほど手間いらず、だからといって小型犬のようなかわいさ重視ではなく犬っぽい・・・・生活ができる。飼い主家族がだいすきで日本の気候にそこそこ適応可能。


 見た目もゴールデン・レトリーバーをちっちゃくしたような見た目だから人気でないほうがおかしいじゃん? なんーでマイナーなのかと、いやそれ言ったらノヴァスコシア・ダック・トーリング・レトリーバーも大概か。


 具体的な話をしましょう。犬には『スタンダード』と呼ばれる、その犬種としてふさわしい体型、気質などが設定されています。人が勝手に設定したんで、まあいろいろ文句や反論もありそうですしわたしもいろいろ持ってるかもですがとりあえずスタンダードってのがあります。


 こういう基準を設定するのは国際畜犬連盟FCIで、それとは別に各国にケネルクラブってのがある。日本も『ジャパン・ケネルクラブJKC』ってのがあって、FCIの基準に沿って犬種認定してる。


 そのページではこんな感じに書いてある。


・体高(理想)

  オス:40cm

  メス:38cm

  ※ +2cm~-3cmまで許容範囲


 体重について記載はないけどだいたい10kg前後。身軽で素早い動きが得意なのです。


 活発なタイプが多い反面警戒心に長けてわりと臆病。ほっとくとどんどんアグレッシブになっていくのでしっかりと世話して、落ち着いた行動をするよう教えることも大切。


 デコイ猟として活躍することは少なくなったけど、その賢さと機敏さでドッグスポーツもなんのその。飼い主との絆はガッツリ固く、そりゃあもう永遠の伴侶犬となってくれるでしょう。


 見た目はゴールデン・レトリーバーを小さくして、そこにボーダー・コリーを足したような印象。ふさっとしたしっぽ。全体的に白い毛がひろがって、ところどころにあかるい茶色が彩っている。


 目を惹くのはそのお耳。パピヨンのように花開いて、美しさのなかに映える先端の黒は『イヤリング』と呼ばれ、コーイケルホンディエの個性を引き立ててくれる。


 大切なことだから何度でも書く。なんでこの子日本で人気でないんだ?






:いろんな国のいろんなわんこ:


 人と犬がどう出会ったかは、まあいろいろな説がある。


 東アジア説、中東説、ヨーロッパ説。それぞれでそれぞれの出会いがあった説。遺伝子検査など詳細な研究が続けられているけれど、それはわたしたちに直接関係ないこと。


 大切なのは『犬というかけがえのない存在が、いつも隣に寄り添ってくれている』ということ。


 世界にはいろんな犬種がいる。ある仕事を求められて、人にかわいさをアピールするため、そのほかいろんな目的があって、世界には1000以上の犬種が存在するようになった。


 そんな子たちと触れ合ってみたいですね。モフってみたいしモフられてもみたいですね。


 もし、このお話を読んで興味をもたれたのなら、ぜひお近くのドッグカフェにお立ち寄りください。


 あたらしい家族・・をご検討の際は、そういったカフェやどうぶつ関連の施設に赴いてみてください。もしかしたら譲渡会などを開いてるかもしれません。


 そういった集まりは、基本わんわんたちをキッチリお世話して狂犬病やらなにやらのオチューシャもして、愛情込めて毎日過ごしているでしょう。


 そこで運命の出会いを求めてみるのもひとつの手段ですし、自分の環境からしてどーしても、という方は動画で癒やされるのも良いでしょう。


 人は犬と出会い、そして犬は人と出会った。この出会い、これからも大切にしていきたいですね。


 もし、キミがすでに家族を迎えているのであれば――キミと、キミのかけがえのない家族・・の幸せを祈らせてください。


 そしてモフらせて!


:参考:


ジャパンケネルクラブ(JKC)、コーイケルホンディエ

ttps://www.jkc.or.jp/breeds/kooikerhondje/

オランダのコーイケルホンディエ協会

ttps://www.kooikerhondje.nl/

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