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宇宙にはたった4種類の"力"しか存在しない

 勘違いしないでほしいんだけど、宇宙ってのは『わたしたち』も含めたこの世界すべてを指してるんだ。


 銀河、太陽系、地球、そのなかで生きるわたしたち。それらは同じ物質で形成されていて、それらを細かく分解すると"元素"という呼び方に変わる。


 水素、酸素、炭素、窒素。これは生命を構成する主要4元素だね。それらをさらに細かく分解するとクォークと呼ばれる物質になる。


 クォークは6種類あって、まあざっくり書いちゃうね。


・アップ/ダウン

・ストレンジ/チャーム

・ボトム/トップ


 難しい話はおいといて、とりあえず『アップ/ダウンクォークが元素を構成してる』んだ。


※ アップクォーク = u:ダウンクォーク = d

・uud = 陽子

・udd = 中性子


 クォークたちが合体してわたしたちが出来上がる。じゃあこの子たちはどうやって合体してるんだろう?


 それが今回のお話に関連してる。この世界はいろんな力に溢れてるけど、それらを究極的に分類すると、実は宇宙にはたった4つの力しか存在しないんだって信じられる?


 じゃ、今回はこんなお話をしていこう。






:宇宙に存在する4つの力:


 始めに結論を書いちゃおう。4つの力の正体はこれだ!


・強い力

・弱い力

・電磁気力

・重力


 うしろのふたつは見覚えあるよね? 電磁気力は電気、磁気の力。ざっくり書けば"電子"のような電荷をもつ粒子同士の相互作用。


 電子が動くと電流が生まれる。これは中学校の理科の授業で習ったね。磁石は電子がクルクルクル~っと"何か"のまわりを回転することで生まれ磁力が生まれ、鉄がくっつくようになる。フレミングの法則で習ったね。


 重力は今きみが感じているソレだ。地球の重力がきみを引っ張って、いや、もっと細かく書けばきみと地球が・・・・・・引っ張り・・・・あっている・・・・・と書いたほうが正しいね。


 だって、質量ある物質はすべて重力を持つんだもの。地球があまりにも巨大だから、わたしたちが一方的に引き寄せられている感マシマシになるだけで、こっちだって地球を引っ張ってるんだぞぉ~!


 っと、ここまでは中学生でもわかりやすい話。じゃあこっからはどうだろう?


 強い力ってなに?


 弱い力ってなに?


 何とくらべて強くて弱いの?


 いろんな疑問があるよね。じゃあ書いていこう。






:強い力と弱い力:


 冒頭でクォークの話したの覚えてる? 実は『クォーク同士をつなぎ合わせる力』こそ強い力なんだ。


 クォークは強い力で"糊"のようにくっつけられている。これは核力とも言われる強力な力で、実験により引き離そうとすればするほど強くなっていくことが判明しているんだ。


 こういった"力"はキャッチボールの関係がある。強い力は『グルーオン』という素粒子が媒介してクォーク同士をくっつけいてる。その力は他の力より強いから、クォークを引き剥がすことは容易ではなさそうだね。


 でも、まあそのうちかんたんに引っ剥がす方法が編み出されるかもしれない。人間の可能性は世界一なのだ。



 弱い力は『核融合/核分裂を誘発する力』だ。強い力はクォークがグルーオンをキャッチボールしてたけど、弱い力の場合はクォークが『Wボソン/Zボソン』という素粒子をキャッチボールして起こす力なんだ。


・W = ウィーク

・Z = ゼロ


 ふたつとも質量が大きい。といっても素粒子レベルだからめっっっちゃ軽いんだけどね。でもWボソンは陽子のだいたい80倍、Zボソンは90倍くらい重いからやっぱ重たい。


 ちなみにグルーオンは質量ゼロね。


 この重さが弱い力の特徴。質量が大きいと、粒子が移動するためどんどんエネルギーを使っちゃうんだ。


 つまり、弱い力はすぐ消滅してしまうから影響範囲も狭いし、キャッチボールするときにエネルギーが要るってこと。これがどういうことを意味するか……ここからが今エピソードの深い話。


 とある例。中性子はuddの組み合わせって書いたの覚えてる? 忘れたって方はいちど戻って読んできてね。


 で、ボソンが放出されると、そのエネルギー放出費用として中性子中の"d"をひとつ"u"に変えちゃうんだ。uddがuudになる。つまり、中性子が陽子に変化するってことだね。


 とある物質のなかの陽子の数が変わった。理科の授業をしっかりやってきたきみなら、これが何を意味するかわかるよね? ――そう、元素名が変化しちゃんだ。


 水素は陽子がひとつ。陽子がふたつになると、それはヘリウムになる。この例はほか元素にも言えることで、それは放射性物質にも言えることだね。


 この例、ベータ崩壊って言われてます。放射性物質が減っていってくれるのはこの力のおかげ。みんな足向けて寝られないね。


 ん――どこに足向けて寝ればいいんだ?






:それぞれの力くらべ: 


 まだ明かされない話題があるね。そう、結局強い弱いって何の話だ? ってこと。それを書いていこう。


 強い力も弱い力も『電磁気力と比べて』ってことです。じゃあ電磁気力を"1"とした場合の力関係を書いていきましょう。


弱い力 = 1000分の1

電磁気力 = 1

強い力 = 100


 強いねぇいや強い。それと比べて弱い力のなんと弱いことよ――いやいや待てと、まだなんかお忘れじゃありませんかと。


 重力さんはどんくらいなんだって話よね? ってことで電磁気力を"1"としたときの重力パワーをご覧ください。


電磁気力 = 1

重力 = 10(-38乗)


 はい。めっっっっっっっっっっっっっっったくそ弱いです。貧弱貧弱ゥ! って感じです。


 10のマイナス38乗。数字にすっとこんな感じ。


電磁気力 = 1

重力 = 0.00000000000000000000000000000000000001


 よーく考えてみてよ。わたしたちは地球の上に立ってる。で、地面に鉄が落ちてるとするじゃん?


 そこに上から石ころくらいの磁石をゆっくり下ろしてく。ある程度近づくと、鉄は磁石によってパチン! とひっつく。


 この時点で地球という・・・・・超巨大質量の・・・・・・重力に対し・・・・・磁石という・・・・・石ころ程度の・・・・・・電磁気力が・・・・・勝った・・・んだよ?


 おわかりですか奥さま?


 ちなみに、電磁気力は光子フォトンが媒介し、重力は重力子グラビトンが媒介してるとされます。グラビトンはまだ未発見で、そもそも重力はナゾが多すぎる力なのです。


 もっとも身近なのにね。あたしが生きてる間に大統一理論が発表されたらいいなぁ……という願望をもって、今回はおわりにしましょう。




 宇宙はナゾいっぱい夢いっぱいSFロマンたっぷりだね!


 創作界隈の方にはぜひこれらの要素をまぜこんだお話をカキカキしていただきたいところ。量子力学ってSFよりSFしてるからほんっと奥が深い。それをもとに思い思いの作品を世に生み出していきましょう。


 現在、これら4つの力に次ぐ第5の力の存在が研究されています。いろいろ候補がありますが、それらは今後話題に挙げられればなと思います。


 ではこのへんで。キミの人生が大宇宙のロマンとともにあらんことを。

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