犬と人。こいつらはいつどこで出会ったのか?
中東説、チベット周辺説、各所でそれぞれの人と犬が出会った説など様々。それはそれとして、わたしたちはあの四本脚の毛むくじゃらと、かれこれ数十万年もの付き合いをしている。
きっかけなぞ想像するしかないが、いつしか人は犬といっしょに、犬は人といっしょに暮らすようになってこんにちに至る。その過程で、犬は人に合わせいろんな変化を遂げてきた。
進化ではなく変化だ。
犬の祖先とされるオオカミはほぼほぼ肉食だ。たしかに植物や木の実を食べることもあるらしいが基本はミートだ。おにくおいしい。
たが犬はどうだろう? 肉もくう、おこめもくう、パンもくう、野菜に果物なんでもござれ。人といっしょに暮らしていくうちにそうなったらしい。なんともたくましい五臓六腑をしておられる。
が、言うて人と犬は異なる生物。人がくえるものを犬がくえるとは限らない。現に、あっちこっちの研究で「犬にこれあげちゃダメ、ゼッタイ」的な食べ物が取り上げられたりしてます。
たとえばどんな? ――犬飼いさんにとっては基本知識といえるヤツに『ネギ類』ってのがあるね。
研究者の間でも「犬にネギ類はやらねぇほうがいいよね?」ってのがいちおうのコンセンサス。けど人によっては反論もあれば異論もある。たとえば、たまたま見つけたこれでは「必ずしも玉ねぎは犬に与えちゃダメな食べ物じゃない」的なことを伝えてる。
:YouTubeチャンネル、獣医Sara先生のペットの暮らしと健康:
ttps://youtu.be/dvt6iqh5lF0
ほうほうなるほどそうなのかっと関心をもったので、今回はこれに関して書いていきましょう。
:まずはメカニズムの確認よな?:
かるーく検索したら、どうやら犬に玉ねぎはアカンという言われは1900年代から始まったようです。玉ねぎやにんにくが貧血を起こすという研究は1930年代から報告されており、80年代には溶血性貧血、つまり赤血球が溶かされ貧血になっちゃうぞ的なことが明らかになった。
つまり、それ以前は犬と玉ねぎの関係性がわかっておらず、あちこちで人が犬に玉ねぎ、まあネギ類を与えるような生活習慣があったと考えられる。わたしゃ昭和大正明治を生きた人ではないので実態を知る由もナッシング。
つまり、大昔から犬はネギ類わりと食ってた。野生のネギ類も食われてたでしょう。あ、勘違いしないでね、これわたしが「犬に玉ねぎあげても大丈夫だよ!」と主張してるわけじゃないからね?
玉ねぎが犬にアカンという根拠というかメカニズムは『有機チオ硫酸化合物』が赤血球を溶血させるとのこと。より詳しく書くと『n-プロピルジスルフィド』と呼ばれるブツ。ネギ類の香りの原因になる物質で、理系の方向けに書くとこんな感じ。
硫黄-硫黄 + 炭素3水素7
S-S + C3H7
人間はフツーにくえるけど犬や猫にとっては有害。赤血球を酸化させ『ハインツ小体』っていう物質が生まれて、それは異物とみなされ膵臓で破壊されおしっことしてサラバ。結果貧血になる。
人と犬猫の赤血球は同じようでちがうのだ。ちなみに、こいつによって貧血化したわんにゃんのおしっこは赤みや茶みが増すらしいよ。
いうてネギ類はむかしっから人間のお供で、ドッグフードなんざない時代にゃわんちゃんねこちゃんたちは残飯をよくもらってたのよ。だから当時のわんにゃんは、もしかしたら常時貧血だった可能性が――?
いや実は、逆に鍛えられていて貧血になりにくくなっていた? いやまさかそんな、生物学に根性論をぶっこんでこられてもこまるわっていうか根性論って実は実態がなかったりするんだけど閑話休題。
当時の犬猫が実際どうだったのか? はもう確かめようもございません。で、現在はこのようなメカニズムが確立されており、実際にいろいろな研究で「犬猫にネギ類与えたら貧血になったよ」という論文が出てる。つまりエビデンスの積み重ねがある。
それなら与えないに越したことはないよな? っていうのはスジなのですが……科学者とは100%にならなければ反論の余地があるのだよ。
:どうしても玉ねぎを与えたいキミへ:
冒頭で紹介した動画では、論文を参照に玉ねぎを耳かき程度にスライスしてしばらくほっといてボイルして与えたらなんともなかったということが報告されているようです。
あーなるほど、そうするとつまり、原因物質であるn-プロピルジスルフィドが破壊された感じになるのかな? っていう予測はできるね。ただこの物質自体は熱につよく、加熱調理しても破壊されないことで知られております。だから実験では耳かき程度の大きさにしたりみじん切りにしたりして、しばらくほっといてボイルするみたいな用意周到な準備をしたのでしょう。
玉ねぎというかネギ類自体はとても栄養豊富なので、無害化できるなrあわんちゃんねこちゃんに与えたいという需要はありそうですが――。
そこまでして玉ねぎ食わせたいか? というツッコミはナシでお願いします。
いやだってアレよ? これってつまりカフェインがめちゃくちゃ危険物質だと仮定した上で「カフェインを完全に取り除いたコーヒーを呑みたい!」みたいな感じ。確かに世の中にゃシャリエコーヒーノキとかいうノンカフェイン品種はあるけど、カフェインはいらないけどコーヒーは呑みたいみたいな矛盾、いや確かにカフェインレスコーヒーとかノンカフェインコーヒーっていう商品もあるけどしかしだって(ry
原因はネギ類ではなくその中に含まれる物質なので、ネギ類からその物質を取り除けばつまり『犬に玉ねぎを与えても良い』になるけど、わざわざ細切れにしてしばらくほっといてボイルして少量与えるなんていう手間をかけたくはなくね? みたいな感じになっちゃうと思うのよ。
それってコーヒーからカフェインを取り除くレベルではないのよ? いやでも、まあ人間ってこんにゃくしかりフグしかり
:ドッグフードとおやつ:
飼い主さんの中にはいろいろがんばって、ドッグフードでなく自前のお料理をつくってる方がたくさんいらっしゃいます。そういった方々の努力には尊敬あんど脱帽なのですが、個人的にはドッグフードでも差し支えないとは思います。
市販のドッグフード、いわゆる"カリカリ"は犬に合わせたバランスの総合栄養食です。それをそのまま食わせるのが犬にとっていちばんでしょう。
っと思いきや、実はカリカリってわりと糖質過多だったりする。成分表を見るとたんぱくしつより炭水化物のが多いんだよねぇ……え? 炭水化物(糖質)の表記なんてないぞって? じゃあとりあえずこんな計算式をおぼえましょう。あとはキミ自身の目で確かめて、どうぞ。
ドッグフードの炭水化物含有量(単位:%)
= 100 - ( タンパク質 + 脂質 + 水分 + 灰分 + 粗繊維)
例
= 100 - ( 25 + 12 + 8 + 5 + 5 ) = 45
基本、犬にはタンパク質たっぷりの食事がよろしいでしょう。あの子たちは糖新生言うてタンパク質から糖質をつくれるので、そこまで炭水化物(糖質)はいらんのです。
わたしはそこまでこだわるタイプじゃないけど、おやつを選ぶ際なるべくタンパク質たっぷりなやつをチョイスしてます。まあ、そのおかげで毎回同じようなおやつになってしまうのだけど。
とはいえうちの毛むくじゃらは文句言わず食ってくれる。どころか、おやつを目にした瞬間、いやおやつを取り出そうとする素振りを見せただけで「ッ!?」シュバつっておすわり待機モード。そのおくちからはツヤッテカな液体が流れる始末。こら気が早すぎやぞ。
と思いつつおおめにあげちゃう。ほんっとかわいいなぁ。
わたし自身、黒ラブといっしょに暮らしててこういう情報には敏感になってます。家族が見ぬスキにチョコ食いまくってたと聞いて急いで病院に駆けつけて「そんくらいの量じゃ何も起きないよ」とお医者さんに呆れられる程度には敏感です。
それもこれもたいせつな
精一杯たのしい毎日を過ごさせていきましょう。それが、人間という種族と出会い、共存してくれたあの子たちにできる最愛の行動なのだから。