ほんとうに食費を切り詰めたいなら『パスタ』をおすすめする。
前日、パスタを水に浸しておく。そうすれば次の日にはふやけた麺になり茹で時間の節約になる。一日三食摂りたいならそれだけ、あるいは夕食だけは朝方浸しておくなど工夫すれば良い。
米を食うなんて言語道断。少量ずつ食えばと思うだろうが実はけっこー対費用効果うすめ。よく「ご飯茶碗一杯ぶんのお米とパンでは~」的な比較が言われるけど実際やってみるとわかる。米は高い。
ところで、現在のお米事情はどうだろう? 5キロ3000円がどうとか4000円がどうとか言われてる。少し前は石破総理大臣が「5キロ3000円台じゃなきゃアカン」的な発言をして、野党さんがしてやったり顔で「できなかったらどうする?」みたいに詰めてた。こういうやりとりをするのが国会だよと子どもたちに教えなければいけない昨今、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
議論ってなんだっけ? そんなことを考えつつ、今回は「米って高いよね?」という事柄について考えていこう。
:高い安いは相対評価:
いまの米は高い。
本気でそう思ってる。多くの称賛がある一方で反論もあるだろう。
生産者の生活がどうとか今までが安すぎたんだとか、まあモロモロ。その主張はわかるし尊重するし、正直に書けば「そのとおり」と言わざるを得ない。
矛盾してるだろうか? ――それでもなお、わたしは「いまの米は高い」と言い切る。それはなぜか?
高い安いは主観的な指標だからだ。
キミたちのお給料が月百万円だったらどうだろう? 5キロ3000円の米を高く感じるだろうか?
キミたちのお給料が月十五万円だったらどうだろう? 5キロ3000円の米を高く感じるだろうか?
高い安いは相対評価だ。その人の収支具合や価値観によって大きく差が出る。そして、現状の日本は『5キロ3000円の米を高く感じる人が多い』という意味で「いまの米は高い」と書いた。
そもそも『米が高いか安いか?』という議題に持ってくるほうがおかしい。ズレてる。米を高く感じてしまうのはなぜか? を把握しなければならない。
大事なことだから何度でも書く。高い安いは立場によって変わる。良い悪いもそう。もちろん「殺人は悪い」というのは
そうなると「常識だって主観的な価値観ですよね?」と重箱の隅をつつこうとする輩がいるがそれ自体が不毛でしかないことを知っておいてほしい。もちろん、キミが
……まあ、世の中にはそれをされたが故に辛い立場に遭わされた人もいるからなんとも言えないのだが。
:古古古古古古古古古米:
年度という概念から、米は収穫時期に合わせて11月1日から『新米』扱いされる。
古米は前年度の、古古米は前前年度の、そして古古古米は前前前年度の米だ。なつかしいなぁ、前前前世。
小泉新農林水産大臣が発表した備蓄米。ニュースによれば古古古米。専門家らしい方は「味が落ちる」的なことを申していた。さらに日にちが過ぎてこれを書いている時点で5月30日。古古古米が流通しだすのは6月からだという。はてさて、これを読んでいるキミは例の米を買って、食ってるだろうか?
そういえば、米の味とはどんな味だろう? 新米と古古古米でどの程度"差"というものがあるのだろうか?
米の味。書けば書くほど気になってくる。言うまでもなく美味い不味いも主観的な評価だ。高い安いや良い悪いと同じ。もちろん、人が感じる味は科学的に解明されており、ある程度絶対的な指標がでてはいるが、それでもその人の育ちや
それぞれ好きな食べ物や嫌いな食べ物があるのはそのせい。米の味はアミロースやアミロペクチンと呼ばれるつまりは『でんぷん』で、それが唾液のアミラーゼと反応しマルトースとなり、甘みを感じさせる。
アミロースは糖質が直線的に繋がったもの。
アミロペクチンは糖質が枝分かれしつつ繋がったもの。
これらの配分によって甘みの感じ方が異なり、アミロペクチンが多いほど粘りが強くなり、ほぼ100%のものは"もち米"と呼ばれるようになる。
通常の米は、アミロースがおおよそ2割程度とされる。乱暴に書けば『米の味と粘度の正体は、アミロースの割合だ』ともできそうだ。
では、何年も保存され続けた米は、どのような変化をしていくのだろうか?
食品を保存をする上で問題なのは『酸素』の存在だ。いわゆる酸化。白米はお米本来の殻にぬか層を除去したもので、備蓄米は精米していないはずなので、まあ劣化スピードはイメージより遅いと思われる。
が、ニュースでは精米せずそのままの状態であれば、そこに油分が含まれているだろうとのこと。たしかに、玄米は油を抽出することができたはず。いや、正しくは"ぬか"のほうか。
油分の劣化は避けられ無さそうだが、それは玄米としての放出ができないというだけで精米すれば良い。個人的には「えげつないぐらい違うと思う」の真実を知りたくなってきたが――うーん米の味かぁ、どこかワインの出来や違いと似通った香りがする。つまりそう、よくわからないけどとりあえず「これは違う」と言っておけば通ぶれるようなそういった気配がする。
基本、米は虫や湿気高温などにさらさぬよう密閉された環境で保存されるだろう。それでも油の酸化はすすむわけだし、厳重保管とはいえ数年も経てば、どこぞで湿気や高温になっているとも限らない。質はどうしても変化するだろう。が、それは劣化なのかわからず、味にどのような変化があるか素人が判断しようもない。
備蓄米は通常『5年』経過したものは飼料用米として売却されるようだ。それまでは備蓄米として保存するのだから食べられるのだろう。古古古米だれかが言ったように「あと1年過ぎたら動物のエサだ」と言われれば、まあそうなのだろう。もちろん、国の備蓄米担当さんが管理体制や知識が不足していたため「申し訳ありません。実は備蓄米は1年でも経つと人が食べられない状態になってしまいます」ということであれば話は別だが――こればかりは専門家のみぞ知る領域だ。
素人としては、これまでも国は年ごとの古古古米を活用してきたのだろうし、まさか「実は、これまでの古古古米は動物のエサとして放出してきて人間用には今回がはじめてです」なんてことはないだろうと信じる他なさそうだ。
:世界の米:
日本の米が高くなってるから海外の米を輸入しよう。そんな話はぼちぼち出てくるものだ。
よく言われるのは『インディカ米』と呼ばれるもの。インドから東南アジアではエース的存在で、アメリカでも生産されている。というより世界で最も生産されている米の種類だ。
ここでひとつ、米の種類とやらを確認しておこう。
・短粒種
ジャポニカ米
粘り気が強い
・中粒種
ジャバニカ米
中間的な粘り気
・長粒種
インディカ米(タイ米)
粘り気が少ない
日本ではもっぱら短粒種しか見られないが、いちおうインディカ米を生産する業者もいるようだ。
短粒種は粘り気が強く、水分も多く含むので日本でやる炊飯器スタイルが良いとされる。ふっくらやわらかい米は、そのまま食べても卵を乗せてもウマいだろう。
長粒米はアミロース量が多くパラパラとした食感に仕上がるので炒め物などの調理に最適だ。香りも良いとされている。それぞれ特徴があるのだから、それに適した調理法で楽しめそうだ。
日本は戦後の食糧難を解決するため、その矛先を米に向けた。その結果誕生したのが『農林1号』。それは『コシヒカリ(農林22号 + 農林1号)』につながり、日本各地で生産が広がった。今でこそ北海道や東北が米処として知られるが、当時の新潟や東北、北海道方面の米はさんざんな評価だったのだ。
が、昭和後期に平成、令和と変遷していくにつれ日本人の食習慣が変わり、政府が行っていた減反政策もあって米の生産量は右肩下がりに下落。減反政策自体は2018年度に廃止となったようだが、食生活が多様化した現代でどの程度生産を増やせるだろうか。
作れるのに作れない。稼げるのに稼げないでは元も子もないので、生産者にはぜひ適正価格で大量生産していただき、海外に輸出できるくらいの量を生み出していただきたい。仕事があり、稼ぎがあるとくれば自然と米農家の人口も増えていくだろうし、従来の常識にとらわれない長粒種、中粒種の米も流通してくるようになるかもしれない。
なお、遺伝子組換え技術により『ゴールデンライス』なるものが開発されたようだ。遺伝子組換えと聞くとなんだか怪しいように思えるが、それを言えばとうもろこしをはじめ多くの作物はすでに遺伝子組換えのものが流通している。どうしても気になるのなら……キミは食品表示をしっかり確認しているだろうか?
いまの米は間違いなく高い。安いと思うキミは、おそらく生産者への愛に溢れているか、もしくは経済的に豊かなのかもしれない。
もしくは、実際の収入は少なくとも認知を改めてそう考えているのかもしれない。いずれにしても、米が高い安いなんていう議論は不毛でしかないので、さっさと根本的な問題について話を進めてほしいものだ。
巷ではにわかに「衆議院」というワードが見え隠れしはじめている。今年の7月28日に任期終了なのでそれ以降になるだろうが、はてさてどのような報道のされ方になり、どのような候補があらわれ、どのような投票率になるやら。
キミは古古古米を購入するか?