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女が上に立つと商売にならない

 脳の構造に男女差はない。あるいはないとする研究が多くある。


 古くから、世俗的に「男は理屈的、女は感情的」などと言われてきた。初期研究でもそれを支持する結果が多くあり、じゃあ科学的にもそうなんじゃね? と言えそうなものだった。が、科学が進歩し、より客観的なデータを得られる時代になると、どうやら男女差が無いのではないか? という結果のほうが支持されるようになってきた。


 さぁて、実際どうなのだろうか?






:科学的研究:


 たとえばMRIによる脳の調査。以前から有名なのは『脳梁は男性より女性のほうが大きい』という説。これは近年否定されつつあり、そのほかの部位にも同じことが言える。ただし脳の使い方は男性が縦的で女性が横的な傾向があるそうだ。要は、女性は脳梁を使い、男性は片方の脳全体を使う塩梅。


 だからといって差があるわけでもなく、またからなずどの男性、女性もそう・・というわけじゃない。音楽心理学の場合、幼少期は男女とも楽器や音楽の好みに差はないが、成長し性差があるに従い楽器などの好みが性別のイメージに沿っていく。


 これはホルモンバランスなどの可能性も考えられるが、同時にジェンダー的側面の可能性もある。つまり、社会がもつ男性像、女性像に子どもたちが影響されているという考えだ。


 ほんとはフルートが好きなおとこの子がいる。けど、その子はフルートが女性的・・・だからギターを選んだ、なんてこともあるかもしれない。キミたちが子どものころ、あるいは今現在、そういう心当たりはないだろうか?


 ほかにも、脳や心理に男女差はないという研究結果がたくさんある。それこそメタアナリシスやシステマティックレビューのようなエビデンスレベルの高い研究でも出てくる。とはいえ、世間に目を向ければやっぱり男女差があるように見える。


 週刊少年ジャンプといえば男子がよく買うイメージ。いや女子も買うか。けどなかよし、りぼん、花とゆめを好んで読む男子はそうそういないだろう。


 人は社会を形成する生き物。その中で生きていく以上、社会からの影響は受けるもの。それがどの程度の影響力をもつかわからないが、いずれにしろ、最新の心理学や脳科学研究では男女差などない、というのがトレンドだ。






:男女共同参画社会:


 政府によると、東証プライム市場上場企業を対象として「2030までに、女性役員の比率を30%以上とすることを目指す」としている。


 なぜそんな目標を立てなければならないのか? ――その理由はいろいろ考えられる。今まで男社会だったから? 女性差別があるから? それとも実際に男性が優秀で女性が優秀じゃないから?


 いろいろな説が飛び交っているね。そのなかでちょっと衝撃な研究がある。中国の温州肯恩大学(Wenzhou Kean)等の研究によると、日本の1990社を2006年から2023年の18年間のデータを精査したところ『女性の割合が増えると会社の利益率が減る』という事実が明らかとなった。


 同じ調査が世界的に行われている中、この結果はワールドワイドに驚かれたかもしれない。ただ、これも反論の余地はありそうだ。日本の企業が全体的に利益減少しているのだからとか、あるいは女性参画のほか企業体制のモロモロな変化があったとか……この研究はあくまで女性幹部の比率と利益に絞った抽出なので、まだ精密な調査が行われていないとか、女性ならではの視点を企業が活かせてないとか、まあ思いついただけでもけっこーある。


 とはいえ、これは興味深いデータであることは間違いない。気になる方は実際に確かめてみることをおすすめする。英語だけど、まあ翻訳ソフトあるしよゆーっしょ。


:MDPI:

https://doi.org/10.3390/jrfm17010020






:オトコとかオンナとかカンケーない:


 世の中けっこー"異性を嫌うひと"ってのは多いものだ。なにかにつけて「これだからオトコ/オンナは~」と口にしたり自分と異なる性を無能だと決めつけたり。そういうのは見苦しいと思う反面、まあ、いろいろ苦労したのかなぁと心中お察ししたりする。


 科学的に男女の差はないよと言っても、これほど世俗的に男女差の俗説が流布してるのだから主張しても意味がない。逆に「じゃあなんで男は理性的で女は感情的なの?」と問い詰められるのがオチってものだ。


 ただひとつ、そういった主張をする方々にひとこと添えておきたいのは「男や女である前に、わたしたちは人間・・なんだよ」ということ。


 常識ある人間なら、ある人を「これだから男は~」なんて吐き捨てたりしない。人前で「女はコレだから困るんだよな!」と怒鳴ったりしない。おとこおんな言い合う前に、まずは人間としての"ふつう"を身に着けてみてはいかがだろうか?


 それでも止まぬ男女の言い争い。ちょっとお茶を用意するからまったりしてかない? だめですか、そうですか。




 人には喜怒哀楽あるからね。きっちり"怒"を表現するのもまたこころへの栄養よ。まあ、それが他者への攻撃に転じてしまうのはよろしくないので、ひとつバッティングセンターで汗を流すことをおすすめします。たのしいよ? 空振りでも。


 キミが思わず異性を嫌ったり偏見の目で見てしまうのはしかたない。それは社会からの「そうあれ」エネルギーに影響されてる部分もあるから。ただ、ちょっと自分を見下ろして、曇りなき眼でいろいろな方を見渡してみませんか? そうすっと、キミも別のひともみーんなおなじ人間なんだってことがわかるはずです。


 まあでも、男性が理屈武装して女性が感情的に叫びまくってSNS上でドッタンバッタン大騒ぎする光景ってのもそれはそれでアリかもしんない。見てるぶんには楽しいって方いるでしょ?


 わたしは、まぁ……はい。

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