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【野球】縦振り、じつはアベレージヒッター向け

 野球のおもしろさはどこにある?


 見る人によっていろいろあるだろうが、現代野球のヒーロー『大谷翔平』の活躍が光るように、やっぱり野球の華といえば豪快なホームランだ。


 大谷翔平選手のスイングはボールをぶっ壊す勢い。彼だけに限らず、メジャーには1番から9番までホームランバッター? と勘違いするような好打者が揃う。それもそのはず、現代のメジャーリーグは空前のホームランブーム。フライボール革命の真っ最中なのだ。


 なんでフライボール革命? 野球を科学してみた結果「これフライ打ったほうがいろいろ良くね?」となったからだ。きちんとデータをとって、ヒットになる確率が高い要素を狙った結果、たとえば『バレルゾーン』と呼ばれる指標が生まれた。ざっくり書けばホームランが出やすい打球速度と角度のことだ。


・バレルゾーン

  打率5割、長打率1.500を達成した打球に関する情報

  打球速度:最低でも時速150キロ以上

  打球角度:26 ~ 31度

  ※ この範囲内の打球を『バレル』と呼び、安打が

    メチャ期待できるよと考える


 本来はもっと細かい指標だけどざっくりこのような形。もっと打球速度が早ければ、もっと広い角度の打球でもヒットになりやすくなる。気になるのであればMLBの公式情報を確認するのも良いだろう。



:MLB:

ttps://www.mlb.com/glossary/statcast/barrel



 このような指標があるのだから、バッターはみんなこの数値を出すようなスイングを目指す。その最たるものが、大谷翔平のあの打ち方だ。


 縦振り。


 バットを下からどころか縦に振る。昭和のダウンスイングしろオジサンが見たら顔を真っ赤にしてしまいそうなスイングだが、メジャーではそれが主流になっている。っていうか、昨今はYouTubeなどでかんたんに学べるから日本でも大流行してるね。小学生でもやってるし。


 メジャーの選手があんなやってるしバカすかホームランになってるし、縦振りはさぞやパワーが出るスイングなんだろうとみなさま思ってるかもしれません。


 が、実は縦振りってパワー出ないんですよ。むしろダウンスイングのほうが"力が入る"ようになります。ナゾなことですが、今回はそれについて書いていこう。






:ダウンからレベルへ:


 日本野球は150年の歴史をもつ。


 まずは大学野球がはやり、後に日本野球の申し子『長嶋茂雄』の入団とともにプロ野球がバズり、日本を代表するスポーツとなった。


 当時はやってたのはダウンスイングだ。ボールを上から叩くイメージでスイングしろと当時の野球少年は教わってきた。ダウンスイングと聞いて、キミはどのように感じるだろうか?


 当たってもゴロになる? ボール飛ばなさそう? ――実は、バットに力を込めるという意味ではダウンスイングはもっとも効率的だ。


 試しに腕を振ってみてほしい。いろいろなやり方で構わない。大ぶり小ぶり、どんな感じに振ってもいいけど、そのなかで最も力が入るのはどんな感じだろうか?


 拳をつくって上に構えて、小指を下にして振り下ろす動作ではないだろうか? ダウンスイングはまさにソレだ。


 当時は野球というスポーツが生まれたばかりだったので、理論というより感覚的なイメージを重視していた。ものを持って振る場合、上から落とすほうが力が入る。剣道の面打ちのようなものだ。


 日本野球で最もホームランを打った『王貞治』が、刀で紙を斬ったり永遠とダウンスイングを練習している映像がある。有名すぎてキミも「ああ、あれね」となるだろう。本来は彼の極端なアッパースイングを矯正する練習だったりして、実際のゲーム中の王選手はわりとアッパースイングだったのだが……世のおとうさん方は「なるほど、ダウンスイングか」となってしまったかもしれない。


 でもまあ、ダウンスイングは実際に力が入るし、当時の日本は毎日プロテイン飲めるような環境でもないし、お米に味噌汁にお野菜みたいな生活をしていたのでガタイが良い人は少ない。だから身体全体を使ってスイングする必要があったし、全体的な技術レベルも現代と比較すれば低かったので「ゴロを打て! そうすれば相手はミスをする!」的な指導があっちこっちであった。


 相手のミスを期待するとかどんな野球だとツッコミ入れたくなる。で、しばらくそんな流れが続いたけど、時代が進むについれ、その考え方に変化が生まれる。


 平成に入り、今までさんざんっぱらダウンスイングを推奨してきた日本野球界が「ボールの軌道に合わせたスイングのほうがよくね?」と改めるようになり、ゆっくりレベルスイングが浸透しはじめていった。


 いわゆる点から線というヤツだ。それまでダウンスイングしか許さなかったコーチらが手のひらを返したように「ダウンスイングは点でしか捉えられないからダメだ!」と言い始めたときの衝撃、プライスレス。


当時の野球少年たち「え? 上から下じゃないの? 最短距離でコンパクトじゃないの?」


 なんでレベルスイングが流行るようになったのか? それもやっぱりメジャーからの風。じゃあなんでメジャーがレベルスイング重視になったのか? っていうとやっぱりホームランのため。


 ちょっとまって。今メジャーはホームランのためにアッパーになってるんだよね? どういうこと?






:アッパーと縦振りは別:


 メジャーは昔っからアッパースイング主流だった。理由はやっぱりホームラン。ボールをかち上げて柵の向こうまで飛ばそうって算段。だけど、やたらめったアッパーしてもホームランにならない。バットの芯にボールをしっかり当てなきゃいけないよね? っていうことでレベルスイングが流行しだした。


 確かに、ボールの軌道にバットを置くレベルスイングはコンタクト率を上げてくれる。ライナー性打球も増えるしいい感じに機能してた。だから日本でも流行した。


 なのでレベルスイングのままでも良かったかもしれない。が、にんげんには科学ってのがあるのです。野球を詳細にデータ化してみた、もっと細かく書けば「ヒットになる確率が高い打球を調べてみたよ!」してみたらいろいろなことがわかった。バレルゾーンもそのひとつ。


 で、その打球を実現するにはどうすればいいんだろう? エラい人たちは考えて、そして「縦振り最強じゃね?」となったのが現代である。


 当然、日本でも流行った。インターネットがある現代では昭和平成よりさらに伝達速度が加速した。ってことでいま、日本中が縦振りセール実地中である。ただひとつ勘違いしてほしくない要素。


 縦振りは確かにアッパースイングのひとつだけど、アッパースイングのイメージで振らないほうがいい。それだと前にポイントを置くので振り遅れあんどホップフライになる可能性が高まる。じゃあどうすればいいのか? ――レベルスイングの歴史を経たアッパー改め縦振りは、レベルスイングの長所である"ミートポイントが広い"を受け継いでおります。これは文字じゃ伝わりにくいよねぇ……まあ、動画とかのがわかりやすいよねぇ……。



:YouTubeチャンネル、Amazing TV:

ttps://youtu.be/Ck4CdI0RYOQ?si=71ZVmmy9BPnDyUE8



 縦振り、実はミート重視。スイングしはじめからボールに当たってもいい。しっかりと打球が飛ぶよという設計になっている。ダウンスイングほどではないが、しっかりパワーも伝えられる。


 もちろん、縦振りをただ実践したとしても、必要筋肉量がダンチなのでフィジカルトレーニングは必須でしょう。ってことで、現代のメジャーリーガーはみんなムッキムキよね。平成初期のメジャーリーガー見てみ? みんなスリムだったりするんだよ?


 ホームランを狙うなら縦振りは必須になる。だって現代野球の、当たり前のように150、160投げてくるようなピッチャー相手に対応できますか? っていう話。縦振りならミートゾーンが広く、またすぐにスイング始動できるので昭和人が口酸っぱくいうてた「最短距離で振れ!」も実践できる。


 縦振りでなくアッパースイングのイメージになると、手が下がってしまいせっかくのメリットがパーになる。手はさげず、手首と肘をうまく使って、あと腹斜筋をクイッとして素早くスイングしていきましょう。




 っていうのをバッティングセンターで考えながら打ってました。結果はどうだったか? ――まあ、偶然会えたらお話しましょう。わたしは日光市民ですが、日光市にバッティングセンターがないのでわざわざ宇都宮市まで遠征しております。


 日光市にできないかなぁ……スタバもサイゼもねぇんじゃ若いもんがどんどん離れてっちゃうよなぁ……はぁ……っていう田舎民の嘆きは置いといて、キミもスポーツに親しんで心身ともに健康でいきましょう。


 キミの人生に幸あれ!

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