「ただいま、リリム…」
見るとリリムは川面に馬乗りになり、バイレーンの兵士の剣を奪って川面の鼻に突き付けている。
「早く言いなさい。顔と鼻が永遠の別れを告げますよ?」
「おいおい、何をしてるんだリリム!?」
俺は慌ててリリムを止めた。ミアも驚きのあまり茫然としている。
「エイジ。お帰りなさいませ」
リリムは俺を見ると、川面から銃を離し心なしか笑顔で迎えてくれた。
「あ、ああ……。で、これはどういう状況なんだ?」
「はい、尋問してました」
なるほどな。しかし顔と鼻が永遠の別れとは穏やかじゃないな……。まあこいつも勇者の一人だし、情報を聞き出すのは賛成だが。
「それで何か分かったか?」
するとリリムは答えた。
「まずこの国は仕切ってる三巨頭と呼ばれる勇者、今日討って出ると宣言したという兵藤という男がその一人だそうです」
「……あの程度でか。ただの弱い者いじめみたいで気の毒に思えたが」
「……貴方が異常すぎるんです、エイジ。あのヒョウドウという男の剣筋、わたくしにも見えませんでした…」
実際ダメージも無かったし、彼我の実力差もわきまえてないのか?
むしろ問題は兵藤を一撃で
現時点では敵ではないが、味方でもなさそうだ。
「実はな、リリム…。その兵藤とやら、太った謎の男にあっさり
「!?」
これには川面も驚いたようだ。急にガタガタと震え出している。
「貴方、信じられないって顔をしてますね」
「こいつらの中ではよほど強いヤツだったんだろう、兵藤とやらは」
三巨頭の一人があれなら、他の2名も楽勝だろうな。但し油断は出来ないが。
「さて、川面くん。三巨頭の残る2人の能力を教えてもらえるかな?」
俺は川面に尋ねた。しかし……。
「だ、誰が言うもんかよ! オレにも命はあるんだ!」
こいつは何を言っている? こんな状況でまだ仲間への義理立ての心配をしているのか? 俺の中で違和感が膨れ上がる。そしてミアもリリムも同じ事を考えているようだ。
「この男……間違いなく他の2人の能力を知っていますわね?」
「……ああ。言いたくないなら、言いたくなるようにしてやる」
俺は膝の急所経穴“梁丘”を突いた。
「イデデ! 何しやがるっ!?」
「放っておくとお前の右足は血が通わなくなって、使いもんにならなくなるぞ。下手したら切断かも知れん」
「なっ!?」
「嫌ならさっさというんだな」
「そ、それは……」
リリムも川面の頭に銃を突きつける。
「いっそ死にますか? 素直に言う方が利口な選択だと思います」
「いう! 言うから!! 膝のこれ止めてくれっ!!」
流石に痛いのだろう。河面は悶絶してた。
「言ったら止めてやる」
俺がそう言うと、川面は膝から手を離した。リリムも銃を下ろす。
「2人の内一人は岩平純太……! 鑑定能力に予知能力に命を持つ鞭だ! もう一人の速水美樹彦は本当に俺も知らないっ!! 信じてくれ!!」
川面は絶叫しながら説明した。まあ詳しく説明しても仕方ないだろうしな。
しかしリリムはこんな事を言い出す始末だった。
「……何か投げやりですね? エイジ」
「いや、まあいい。ウソはついてなさそうだ」
「でもわたくし、この話をもう少し詳しく聞いてみたいです。この男、三巨頭以外の情報も持っていそうですし
確かにな。本音を言えば、勇者なんかより気になるヤツがいる。今は兵藤とかいう勇者を二撃で