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第41話:勇者探し

「ああ……実は今から言う武器を作ってもらいたい」


 俺が言うとミアは頭を下げてお辞儀をした。


「勿論、お礼ははずみますわ」


「そうですかい……」


 男は少し考えてから言う。


「俺は鍛冶師をしているドワーフ、ギリヤグ。若いの、お前の名は?」


「エイジだ。エイジ・ハイロード」


 俺が答えるとギリヤグさんは頷く。


「ふむ……まあ、いいだろう。依頼の内容は何だ? 剣か槍か弓か……」


「いや、銃に使う弾丸が欲しい」


「ああ……銃の弾か……。それなら、細かい仕様書がほしいな」


「リリムが説明いたします。実物はこれです。紙と筆記用具はありますか」


    リリムが弾丸を一発分手渡すと、ギリヤグさんは頷いた。


「ふむ……銃の弾丸か……。分かった。ちょっと待ってな」


 ギリヤグさんは奥に引っ込むと、すぐに紙とペンを持って戻ってきた。


「ほれ」


 俺はギリヤグさんからそれを受け取りリリムに渡す。


「分かりました。ほんの少々お待ちください」


 リリムは答えると弾丸の内部構造などを、スラスラを紙に描きはじめた。


「ふむ……。なるほどな」


 ギリヤグさんはリリムの描いた絵を見て頷く。


「で、この弾を何発欲しい?」


「そうだな……」


 俺は少し考えて言った。


「とりあえず400発は欲しい」


「400か……まあいいだろう。但し火薬使う分も別途料金で戴くぜ?」


 ギリヤグさんは頷いてから言う。


「じゃあ、3日後にまた来てくれ。その時に渡そう」


「分かった」


 それじゃあ、その間にここに逃げた勇者共を探すとするか。


「ミア、リリム。俺はちょっと出かけてくる。2人は宿でゆっくりしててくれ」


 鍛冶屋を出てから俺が言うとリリムは頷いたが、ミアは俺を止めた。


「エイジ……1人で行くのですか?」


「ああ」


 俺は答える。すると……。


「私も行きます」


 とミアが言ったので俺は驚いた。


「え?でも……」


「私は聖騎士シュバリエです! 一緒に行きましょう!」


「……分かった」 


 まあ、ミアが足手まといにならないのは分かった。自分の身は自分で守れるくらいの力量がある事も。


「んじゃリリム。留守番頼むぜ」


 俺が言うとリリムは頷く。


「はい」


 とりあえず、町の中心を目指すか。

 少し目立つ事をしてくれればありがたいんだが。


「エイジは勇者の居場所を知ってるんですか?」


 しばらく歩いているとミアが俺に聞いてきたので、俺は答える。


「いや、全く分からん。女神マーヤからもヒントも何も言われてない。だから捜索には最低半年は猶予をもらったんだがな」


「そうですか……」


 するとミアは顎に右手を添え、少し考えてから言った。


「なら、こうしましょう」


「ん?」


 俺が聞くと彼女は続ける。


「わたくしがエイジと一緒に行動します」


「……それで勇者が釣れるのか?」


「はい。男性であれ女性であれ、わたくしの美貌と麗しさに大抵の者は跪きます!」


 ……大丈夫か? こいつ……。しかし、他に良い案もない。

 ので俺はミアに言った。


「分かった。よろしく頼む」


「はい!」


俺たちは町の中心部に向かって歩いて行く。と……。


「お! いたぜ!」


「おい、そこの女!」


 本当に2人の男がミアを見つけて近づいてきた。俺は身構えるが、男たちは俺を無視してミアに声をかける。

 どうやら目的はミアだけらしいな……。まあ、確かに可愛いとは思うが。

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