「ああ……実は今から言う武器を作ってもらいたい」
俺が言うとミアは頭を下げてお辞儀をした。
「勿論、お礼ははずみますわ」
「そうですかい……」
男は少し考えてから言う。
「俺は鍛冶師をしているドワーフ、ギリヤグ。若いの、お前の名は?」
「エイジだ。エイジ・ハイロード」
俺が答えるとギリヤグさんは頷く。
「ふむ……まあ、いいだろう。依頼の内容は何だ? 剣か槍か弓か……」
「いや、銃に使う弾丸が欲しい」
「ああ……銃の弾か……。それなら、細かい仕様書がほしいな」
「リリムが説明いたします。実物はこれです。紙と筆記用具はありますか」
リリムが弾丸を一発分手渡すと、ギリヤグさんは頷いた。
「ふむ……銃の弾丸か……。分かった。ちょっと待ってな」
ギリヤグさんは奥に引っ込むと、すぐに紙とペンを持って戻ってきた。
「ほれ」
俺はギリヤグさんからそれを受け取りリリムに渡す。
「分かりました。ほんの少々お待ちください」
リリムは答えると弾丸の内部構造などを、スラスラを紙に描きはじめた。
「ふむ……。なるほどな」
ギリヤグさんはリリムの描いた絵を見て頷く。
「で、この弾を何発欲しい?」
「そうだな……」
俺は少し考えて言った。
「とりあえず400発は欲しい」
「400か……まあいいだろう。但し火薬使う分も別途料金で戴くぜ?」
ギリヤグさんは頷いてから言う。
「じゃあ、3日後にまた来てくれ。その時に渡そう」
「分かった」
それじゃあ、その間にここに逃げた勇者共を探すとするか。
「ミア、リリム。俺はちょっと出かけてくる。2人は宿でゆっくりしててくれ」
鍛冶屋を出てから俺が言うとリリムは頷いたが、ミアは俺を止めた。
「エイジ……1人で行くのですか?」
「ああ」
俺は答える。すると……。
「私も行きます」
とミアが言ったので俺は驚いた。
「え?でも……」
「私は
「……分かった」
まあ、ミアが足手まといにならないのは分かった。自分の身は自分で守れるくらいの力量がある事も。
「んじゃリリム。留守番頼むぜ」
俺が言うとリリムは頷く。
「はい」
とりあえず、町の中心を目指すか。
少し目立つ事をしてくれればありがたいんだが。
「エイジは勇者の居場所を知ってるんですか?」
しばらく歩いているとミアが俺に聞いてきたので、俺は答える。
「いや、全く分からん。女神マーヤからもヒントも何も言われてない。だから捜索には最低半年は猶予をもらったんだがな」
「そうですか……」
するとミアは顎に右手を添え、少し考えてから言った。
「なら、こうしましょう」
「ん?」
俺が聞くと彼女は続ける。
「わたくしがエイジと一緒に行動します」
「……それで勇者が釣れるのか?」
「はい。男性であれ女性であれ、わたくしの美貌と麗しさに大抵の者は跪きます!」
……大丈夫か? こいつ……。しかし、他に良い案もない。
ので俺はミアに言った。
「分かった。よろしく頼む」
「はい!」
俺たちは町の中心部に向かって歩いて行く。と……。
「お! いたぜ!」
「おい、そこの女!」
本当に2人の男がミアを見つけて近づいてきた。俺は身構えるが、男たちは俺を無視してミアに声をかける。
どうやら目的はミアだけらしいな……。まあ、確かに可愛いとは思うが。