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第48話:忌々しいガキ共

「……しかし……なんだ? あのガキ共……」


 俺はある事に気づいた。それは……。


「みんな……笑ってる?」


 ミアも気づいたようだ。そう、勇者どもは皆笑顔なのだ。しかもそれは、他人が苦しむのを愉しむような歪んだ笑みだった。


「……あいつらは……」


 俺はある考えに辿り着いた。そしてそれをリリムに伝える。


「リリム」


「はい」


「あのガキ共だがな、恐らく全員サイコパス化している」


「……サイコパス?」


 ミアは首を傾げた。まあ無理もないか。


「早い話。他人が不幸に合っても何とも思わないような、むしろ他人の不幸を笑える人間ことを、俺の世界ではサイコパスって呼んでる」


 そういえば女神サーラも生前からサイコパスって摩耶さんが言ってたな。

 類は友を呼ぶとはこの事か。

 まあおかげで殺すのには躊躇は無くなった。ここまで6人殺してるし、今更だが。


「エイジ。それではあの勇者達を誰からやるんです?」


 ミアが聞いてきたので、俺は素直に答えることにした。


「順番は特に決めてない。孤立したヤツからやっていく」


 あまり時間かけてると、また逃げられる可能性あるしな。


「じゃあまずこの近くにいたのから殺るか」


「はい」


 リリムが頷いた。その時、店の中から出てきた男が一人戻ってきた。


「いけね。金忘れた」


 これは好都合だ。自分から一人になってくれるとは。


「リリム」


 俺は小声でリリムに合図を送る。


「……はい」


 リリムは頷くと、そのまま男の後をつけていく。俺もその後をついていくことにした。

 男は店から少し離れたところで立ち止まり、周囲を見渡した。


「周囲を警戒するくらいの警戒心はあるようですね」


「ああ、そうだな」


 俺はそのまま男の後をつける。男はしばらく周囲を見渡した後、また歩き出した。そして今度は人通りの少ない裏路地に入っていく。


「どうやら人気のない所に向かっているようですね」


 リリムが呟いた。

 確かにそうだ。人通りの多いところをあるけばいいのに。わざわざ人気の無いところで一人になってくれるとは。

 おかげで俺としてはやりやすくなったが。

 やがて男は一軒の廃屋はいおくに入っていった。俺もその後を追うように中に入ると、そこには男が3人いた。


「なんだお前ら…」


「はい勇者殺し一丁釣れたっ!!」


「デカしたぜオギ。こいつか」


 俺としたことがとんだ失態だ。尾行してるのがバレてたか。まあいい。一気に4人かたずけられると思えば。


「おいお前ら。こいつは俺らがやるんだ。良く見とけ」


 勇者の一人が俺に言ってきたので俺はその胸ぐらを摑み、そいつの顔に頭突きをかました。


「ぐはっ!」


 さらに腹に蹴りを入れたあと、地面に倒れた男を殴り付ける。俺の拳は男の頭蓋を破壊したらしく、男はすぐに動かなくなった。


「こいつ……!!」


 他の3人は剣を抜いて俺に襲いかかってくる。俺はそれを素早く躱し、まず手前にいた奴の首を斬り落とした。

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