「……しかし……なんだ? あのガキ共……」
俺はある事に気づいた。それは……。
「みんな……笑ってる?」
ミアも気づいたようだ。そう、勇者どもは皆笑顔なのだ。しかもそれは、他人が苦しむのを愉しむような歪んだ笑みだった。
「……あいつらは……」
俺はある考えに辿り着いた。そしてそれをリリムに伝える。
「リリム」
「はい」
「あのガキ共だがな、恐らく全員サイコパス化している」
「……サイコパス?」
ミアは首を傾げた。まあ無理もないか。
「早い話。他人が不幸に合っても何とも思わないような、むしろ他人の不幸を笑える人間ことを、俺の世界ではサイコパスって呼んでる」
そういえば女神サーラも生前からサイコパスって摩耶さんが言ってたな。
類は友を呼ぶとはこの事か。
まあおかげで殺すのには躊躇は無くなった。ここまで6人殺してるし、今更だが。
「エイジ。それではあの勇者達を誰からやるんです?」
ミアが聞いてきたので、俺は素直に答えることにした。
「順番は特に決めてない。孤立したヤツからやっていく」
あまり時間かけてると、また逃げられる可能性あるしな。
「じゃあまずこの近くにいたのから殺るか」
「はい」
リリムが頷いた。その時、店の中から出てきた男が一人戻ってきた。
「いけね。金忘れた」
これは好都合だ。自分から一人になってくれるとは。
「リリム」
俺は小声でリリムに合図を送る。
「……はい」
リリムは頷くと、そのまま男の後をつけていく。俺もその後をついていくことにした。
男は店から少し離れたところで立ち止まり、周囲を見渡した。
「周囲を警戒するくらいの警戒心はあるようですね」
「ああ、そうだな」
俺はそのまま男の後をつける。男はしばらく周囲を見渡した後、また歩き出した。そして今度は人通りの少ない裏路地に入っていく。
「どうやら人気のない所に向かっているようですね」
リリムが呟いた。
確かにそうだ。人通りの多いところをあるけばいいのに。わざわざ人気の無いところで一人になってくれるとは。
おかげで俺としてはやりやすくなったが。
やがて男は一軒の
「なんだお前ら…」
「はい勇者殺し一丁釣れたっ!!」
「デカしたぜ
俺としたことがとんだ失態だ。尾行してるのがバレてたか。まあいい。一気に4人かたずけられると思えば。
「おいお前ら。こいつは俺らがやるんだ。良く見とけ」
勇者の一人が俺に言ってきたので俺はその胸ぐらを摑み、そいつの顔に頭突きをかました。
「ぐはっ!」
さらに腹に蹴りを入れたあと、地面に倒れた男を殴り付ける。俺の拳は男の頭蓋を破壊したらしく、男はすぐに動かなくなった。
「こいつ……!!」
他の3人は剣を抜いて俺に襲いかかってくる。俺はそれを素早く躱し、まず手前にいた奴の首を斬り落とした。