俺はミアの方を見ながら言った。すると彼女は小さくコクリと首を縦に振ってみせる。
「単純にモタモタしてると逃げられる可能性もあります」
意見してきたのはリリムだった。
「リリムの弾も早くできるといいんだがな…」
明日あたり、ギリヤグさんの店に行ってせっついてみるか。
「はい……でもあまり無理はしないでくださいね」
ミアは不安そうな表情で言った。俺は苦笑しつつ答える。
「ああ分かってるよ」
俺はそう言うと歩き始めた。
「とりあえず宿に戻って作戦会議といこう」
「分かりました」
ミアはそう返事すると俺の後に続いた。
「勇者共がどこに寝泊まりしてるか分かるといいんだがな…」
◇◆◇◆◇◆◇
「……この街の大きな屋敷か旅館だと思います。このラミエルは旅の行商人も多く出入りしますから」
ミアのこの情報通りであれば、恐らくそこに寝泊まりしているのだろう。
「まあ、あの三巨頭の死に方を知っていれば、一人二人で泊まっている訳はないか」
問題はリリムの弾丸だ。ドワーフのギリヤグさんがすぐには出来ないとは言っていたが、連中がこのラミエルに居るうちに一気に片付けたい。それにはリリムの銃の腕はどうしても必要なのだ。俺は部屋に入り椅子に座りながら考えていた。
「おいリリム、ミア……ってお前何持ってんだよリリム」
振り向いた先でリリムが手に持っていたのは、一本のナイフだった。
「……なんでこんなものを」
「武器の確認です」
「武器なら俺の
壁に立てかけてある剣を、俺は指差した。だがリリムは首を横に振る。
「いえ。これは念のためです」
俺が聞くと彼女は頷いて言った。
「例えば勇者に見つかって組み合いになった時とか。そういう時はナイフの方が効率がいいです」
「……確かにそうだが」
と俺もナイフを手に取った。
「万が一剣が使えなくなってもこれなら戦えます」
リリムはそう言ってニコリと微笑んだ。俺はリリムの持ってるナイフをまじまじと見る。よく見ると刃がかなり磨き込まれていた。
「随分と綺麗な刃だな。手入れが行き届いてるみたいだけど」
「えぇ。あの研究所を襲撃した際、敵が落としたのを拾ったものです。リリムはいつも持ち歩いています」
……今初めて聞いたぞ。呆れている俺を