「見せてやるぜ! 三巨頭の力をよっ!!」
そう叫ぶと少女は手を掲げた。すると空中に無数の光弾が出現した。それらは全てこちらに向かってくる。俺はそれを見据えると大きく息を吸った。そして一気に吐き出すと同時に
凄まじい速度で迫る光弾群が目の前で爆発する。
「ふん……なかなかやるじゃん。でもこれで終わりじゃねえぞ」
少女はそう言うと右手を前に突き出す。すると今度は雷が降り注いできた。
俺は慌てずに拳を振り上げる。そして振り下ろすと同時に拳を地面に叩きつけた。すると地面が隆起して壁となり電撃を受け止めた。
「嘘だろ? まさか防がれるとは思わなかったよ」
彼女は驚いたように言った後舌打ちをする。
「ちっ。仕方ねぇ……直接ぶん殴ってやるよ!」
彼女はそう言いながら走ってきた。
(チ…あの兵藤とやらとは段違いに強いな。三巨頭にも実力に差があるんだなっ!!)
まずは様子見だ。俺は身構える。
攻撃を受けてからカウンターを決める。俺は相手の動きを観察する。
(速い!?)
一瞬で間合いを詰めてきたかと思うと拳が飛んできた。咄嵯に腕でガードするがそれでも衝撃が伝わってくる。
「ぐっ……」
「どうした? もう終わりか?」
そう言って彼女は再び攻撃を仕掛けてきた。今度は蹴りだ。蹴り技も上手いらしい。俺は避けきれずにまともにくらってしまった。
「ぐはっ!?」
俺はそのまま吹き飛ばされてしまい壁に激突した。かなり痛いぞこれ……。
「おいおい。もうギブアップかよ。まだ始まったばかりだぜ?もっと楽しませてくれよ」
彼女はそう言って笑みを浮かべている。
(くそったれ……。どうでもいいけど口汚い女だ……)
雷撃と格闘術の二段攻撃はさすがにやばい。俺は全神経を集中させた。
突然、女の動きがスローモーションに感じる。
どうやらマーヤさんにもらった例の力が、発動したようだ。
「おらあっ!!」
女の拳が飛んでくる。それを紙一重で避け反撃に出る。俺の拳が命中すると女は大きく仰け反った。
だがそれで終わりではなかった。
すぐに態勢を立て直し反撃してくる。
「おらぁ!!」
女の拳が飛んできた。俺はそれを
(まずい……!?)
だが次の瞬間には逆に腕を掴まれていた。そのまま背負い投げのように投げ飛ばされる。
「がはっ!?」
俺は地面に叩きつけられた。
「はぁ……はぁ……」
俺は立ち上がると再び構えを取った。女も同様に構える。
「しぶといじゃねぇか。だけどいい加減諦めな。お前じゃアタシには勝てねえよ」
「……」
俺は無言で拳を構え直し、一気に加速して距離を詰める。そして渾身の一撃を放った。
「ぐはっ!?」
今度は女が壁に叩きつけられる。その衝撃で壁にヒビが入った。
「どうだ? まだやるか?」
俺が尋ねると女は小さく笑った。そしてゆっくりと起き上がる。
「へっ……流石勇者殺しだな。正直舐めてたぜ」
女はそう言って立ち上がると服についた埃を払うような仕草をした。
「これでもアタシはまだ本気出してないんだけどな」
不敵に笑いながら、女は言い放った。どうやらまだ余力はあるらしい。
「そうかよ。なら本気を出させてやるまでだ」
そう言うと俺は、再び構え直した。