パン屋「ロケットベーカリー」を一人で切り盛りしている主人公には、実は殺し屋という裏の顔がある。そんな彼が、お店にアルバイトでやってくるシングルマザーのカオルさんに恋をした。前途多難しか感じないこの恋、実るのか、実らないのか…。
筆者のハマハマさんは軽快な文体が特徴的で、短編も抜群に読みやすくて面白いのですが、この長編も個性的なキャラクターたちのリズムのいい掛け合いが楽しくて、どんどん読み進めてしまいます。主人公とカオルさんの恋の行方はもちろん、パン屋が舞台の物語とあって、作中に出てくるパンがどれも美味しそうなこと! 登場人物たちが食事をしにいくお店の定食も、とても美味しそうに描写されていて、読んでいて思わずお腹が空きます。飯テロ作品でもあります。
雰囲気的にバッドエンドはなさそうなのですが、この状況からどうハッピーエンドに持っていくのか、最後まで目が離せません。中弛みしない展開もお見事でした。オススメです。