ここはどこだ? 確か、自分の魔法にぶつかって、あの後……ナイフで刺された。気をつけろってこういうことだったのか?
たくさんの写真が飾ってある。一つの写真に触れようとすると、はじかれてしまった。
次に目を開けた時にその場所はなかった。先ほどの森に立っていた。
「どういうことだ。精神世界から追い出されるなんて!」
精神世界……もしかしてと思い確かめてみると、精神防御が破られていた。騎士団秘伝の精神防御を破るなんて恐ろしいナイフだ。
精神防御の魔法を僕は使えない。というか、騎士団でも使えない人が大多数だ。だから、ほとんどの人は騎士団専属のシスターに魔法をかけてもらってる。
次にあのナイフに刺されたらもう次はない、だろう。効果はわからないけど、精神に干渉する魔法は、かけられたら負けなものがほとんどだ。
先ほどより、慎重にならないと負ける。距離を取って魔法を出しても、先ほどと同じ結果になるだけだろう。不本意だけど、物理攻撃で攻めたほうがいいな。
腰に刺していた剣を取り出し、構える。リーチはこちらのほうがある。ひきつける魔法は足に魔力を集中させてしのげばいい。
「……そのナイフ、一度でも掠めれば終わりか」
「そうだよ。次も私が勝つ」
一瞬、空気が弾けた。ノアが疾風のように駆け、低い姿勢から一気に踏み込んでくる。刃が夜を切り裂き、僕の喉元を狙った。
ガキィィン!!
火花が散る。寸前で剣を横薙ぎに振り、短剣を弾いた。その勢いのまま、剣を振り下ろす。
あと少しのところで躱されてしまう。魔法ばかりじゃなく、腕の筋肉も鍛えとくべきだったな。
「……遅い!」
再び近づいてきたリティーがヒュッとナイフが振る。しゃがんで避け、足元を狙って剣を振る。
ジャンプで避けられてたので、着地のタイミングに合わせて、再び剣を振るう。今度はを掠めた。
着地に失敗し、リティーがよろける。
「終わりだ!」
よろけたリティーに向かって剣を振り下ろす。最後のあがきで投げたナイフもよけ、剣がリティーにあたる瞬間、何かの刺さる音がする。
音のしたほうを見ると、僕の右足に彼女の左手がナイフを刺していた。なぜ?
「ナイフは避けたはず……」
「あのナイフは普通のナイフだよ。何の魔力も帯びていない普通のナイフ」
最後の最後で油断してしまったのか。すいません団長。団長の命令果たせませんでした。