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里親希望が無いまま2年経過「チョビタ」

 譲渡ボランティアが保健所からレスキューした犬猫が、里親が決まらず何年も経つことはよくある。

 チョビタも、誰からも声をかけてもらえないまま2年が経過した。


 2022年6月12日、生後1ヶ月くらいの頃に保健所に入った1匹の仔猫。

 発見場所は真栄里まえさと地区。

 おそらく、その付近で暮らしていた野良猫の子供だろう。

 人馴れしておらず、ケージを覗き込むと後ろへ下がって固まってしまう。



 保健所では、育てている母猫がいると思われる仔猫は引き取らない。

 授乳期間中の母猫は、仔猫を失うと僅か1週間で次の繁殖に向けて発情が始まる。

 むやみに野良猫の子供を保護してしまうと、繁殖ペースを速めてしまう可能性があるのだ。

 母猫の育児放棄の可能性が高い痩せている仔猫は、相談者から状況を聞いた上で収容か否かが決まる。

 チョビタは、相談者から事情を聞いた保健所の動物担当者が、保護すべきものと判断して収容された。


 人馴れしていない仔猫は、貰い手がつきにくい。

 チョビタは3ヶ月ほど保健所にいて、保健所サイトにも載っていた。

 けれど、里親希望をする人はいなかった。



 保健所では、一般人は敷居が高くて見学者が少ないかもしれない。

 1匹だけでの生活では、社会性も養われない。

 譲渡会に出すためには、保健所から引き出す必要がある。

 譲渡ボランティアと保護施設管理人とで話し合い、チョビタのレスキューが決まったのは9月のことだった。



 保健所から連れてきたばかりのチョビタは、キャリーに引きこもって出てこない。

 しばらくそっとしておこうと思い、キャリーごとケージに入れた。


 やがて出てくるようになったチョビタは、人の姿を見るとすぐ隠れてしまう。

 ラリマーの譲渡会は保護施設内での開催なので、チョビタも漏れなく参加した。


「ここにも仔猫がいますよ~」

「えっ? そこにもいたんだ」


 隠れた仔猫は、スタッフが言わないとお客さんは気付かない。

 お客さんのハートを射止めるには、もっとグイグイ迫る仔猫でないと難しい。

 猫が来客にアピールしないなら、ボランティアがアピール頑張るしかない。


 チラシを作って街へ貼りに行ったり、SNSで呼びかけたり。

 ラリマーのブログでも何度も里親募集を呼びかけたけれど、全く里親希望が無いまま2年が経った。


 チョビタ本猫ほんにゃんは、ゴハンが貰えるならどこでもいいと思っているかもしれない。

 保護施設暮らしでも、彼にとっては特に不便はないのだろう。

 しかし、保護施設は次々に新入りがくる仮の宿のような場所、永住地ではない。

 ケージの数も限られているから、できれば卒業してほしい。

 チョビタのずっとの家族になってくれる人はいないだろうか?



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