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記憶力と方向感覚が凄い猫「マロ」

 TNRの手術で一時保護された猫が、リリース後に一時保護場所へ帰ってくるなんて話は聞いたことが無かった。

 まして20kmも歩いて帰ってきたなんて、長年猫ボラやってる人も聞いたことがないという。

 マロは、それくらい希少な猫。

 石垣島を北から南まで縦断した猫が、帰ってきたのはTNRの手術前後1週間だけ過ごした倉庫の前。


「倉庫にマロが帰ってきちゃいました」


 電話で報告を受けて、えっ? と耳を疑ったのは2022年のこと。

 当時も今と同じく毎週TNRの避妊去勢手術を実施していた。

 マロも他の猫たちと同じく餌やりさんが捕獲して、当時多くのTNR猫を一時保護していた倉庫で短期保護された後、投薬期間が終わってすぐリリースされている。


 避妊去勢手術後にリリースされた猫が、別の場所へ行ってしまうことはたまにある。

 手術に関係なく移動してしまうこともあった。

 特にオス猫は1日4~5kmくらいは平気で移動できると言われている。

 しかしマロは、車で20~30分かかる距離を歩いて帰った。


 倉庫からリリース場所まで車で運ばれたのに、なぜ道が分かるのか?

 広い屋外で生まれ育った野良猫が、ケージに閉じ込められた場所に帰ろうと思ったのはなぜなのか?


 マロは倉庫に入れてもらうと、自分でケージの中に入ってくつろぎ始めたという。

 外よりもケージの中で暮らす方がいいと思った珍しい猫・マロ。

 倉庫の猫の世話をしていたボラさんは、そのままマロを保護して里親募集を始めた。


 残念ながら誰からも里親希望は無いまま1年が過ぎ、マロはラリマーのスタッフ猫に昇格して里親募集終了。

 施設に来るお客さんたちに撫でられながら、のんびり室内暮らしを満喫している。



 2024年6月、マロは腎臓病を発症。

 施設で点滴してもらいつつ、闘病生活中。

 普通の猫用ゴハンをほとんど食べなくなり、腎臓ケアフードで嗜好性の高い「スペシフィック 腎心肝アシスト」をお試し開始。

 先日は食欲増進剤の副作用が出て、いつものスリゴロとは別猫のように荒々しくなったとLINEがきた。

(送られてきた動画を見て「マロ大丈夫?!」と思ったくらい暴れてた)

 その後は落ち着いたとの報告をもらったので、ひとまず安心。

 猫の腎臓病は治らない病気とのことだけど、進行を遅らせることはできるという。

 マロにはもう少しゆっくり長く生きてほしい。



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 2024.7.30

 クラウドファンディング活動報告より抜粋


 バタバタしていて2日ほど報告が遅れました。

 腎臓病を患い、点滴生活をしていたマロが7/28未明に永眠したことを御報告します。


 食欲が落ちて食べなくなったマロにオススメのゴハンを教えて下さった方。

 ゴハンを送って下さった皆様。

 応援して下さった皆様。

 ありがとうございました。


 ずっと看病していたラリマー代表の平地より「マロは静かに息を引き取りました」との報せがありましたので、最期は苦しまずに逝けたのだと思います。


  TNRの去勢手術後、リリース先から1週間かけて一時保護場所まで歩いて帰ったマロ。

一時保護中に世話をした人が扉を開けたら、自分が使ったケージに迷わず入って悠々と寛いだという稀有な猫でした。


 今頃は虹の橋のたもとで、ノンビリ昼寝でもしているかもしれません。

 マロの主はまだ当分そっちへ行けないだろうから、気長に待ってくれたらいいですね。

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