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2回保健所に入った犬「チャイ」

 ペットのおうちで里親募集する際の記入事項に「単身者応募不可」という項目がある。

 独り暮らしだと病気になったり死んだりしたときにペットが取り残されることを心配しての項目らしい。


 家族がいたってアテにならないことが多いのを御存知だろうか?

 保健所に2回入った犬「チャイ」は、大家族に貰われたのに飼育放棄された。



 2019年8月、保健所からレスキューした1匹の仔犬。

 預かりボラが「チャイ」と名付けた、人懐っこい甘えん坊。

 石垣島の保健所に仔犬が入ることは稀で、収容されると2件3件問い合わせがきたりする。

 引き出した仔犬は、預かり宅に1週間いたっけ? というくらい短期間で里親希望がきた。


 それはボランティア仲間の友人関係で、3世帯同居の家庭。

 寂しがり屋でいつも人にくっついていたい「チャイ」にピッタリの環境だった。


 トライアルは問題無く、1週間後に正式譲渡。

 にぎやかな家庭でずっと幸せに暮らすだろうと思っていた。


 それから3年後……


「飼い主から虐待を受けている犬がいます。どうしたらいいですか?」


 そんな相談が入った。

 認知症が始まった老人が、ベランダで犬を叩いている。

 相談者は警察に通報したが、当初はなにもしてもらえなかった。

 拡散力のある人がインスタなどで発信して全国から警察に意見がきて、やむなく動いた感じ。



 2022年1月、チャイは再び保健所に収容された。

 大家族は子供や孫たちが別居して、老夫婦と犬だけが残されたという。


 チャイの里親はそこの家の息子だったけれど、両親に犬を残して引っ越している。

 あんなにたくさん家族がいたのに、誰も犬を引き取れる人がいなかった。


 単身者でも大家族でも、責任感が無ければ譲渡に向かない。

 たとえ家族が100人いたとしても、誰も代わりに飼えないならいないのと同じだと思う。



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