2023年3月、八重山保健所は一気に猫が増えて大忙しだった。
与那国島の町営住宅で、おばぁが飼っていた猫10匹の飼育放棄。
猫たちは放し飼いで、付近住民から苦情が出ていたという。
石垣島から与那国島までの距離は約147.4 km、飛行機で35分ほど。
フェリーも出ており、石垣港から与那国(久部良)港まで、所要時間は約4時間。
猫たちは貨物扱いで、海を越えて保健所に収容されに来た。
10匹のうち、捕獲されたのは7匹。
放し飼いなので、何匹いたのか正確には分からないらしい。
収容された猫たちは4月に年度が変わってから避妊去勢手術を受ける。
……筈だった。
2024年4月2日、7匹のうち1匹が出産。
5匹の乳飲み子が加わり、収容は12匹となった。
八重山保健所は動物の収容部屋が1つしかなく、犬も猫も相部屋。
(二重扉の間の小部屋にケージを置いて猫を隔離することはできるが、犬たちの吠え声は聞こえる)
「犬が吠えている部屋で育児なんて落ち着いてできないから、レスキューしてあげて」
「ラリマーの施設で保護しようよ」
ボラたちからの要望を受けて、母猫1匹と仔猫5匹を引き出したのは、4月17日のこと。
ボラが用意してくれた二段ワイドケージに、保健所のキャリーごと母子をIN!
母子に付けられた仮名は、母猫「よなみー」、仔猫は「ハイ」「サイ」「ミー」「ファイ」「ユー」。
母子まとめて「よなみーず」と呼んだり、仔猫たちを「
保護施設で落ち着いて子育てを始めて、仔猫が生後3週に入る頃、母子は体調を崩してしまった。
仔猫の体重が減り始めた! とのことで、急遽ミルクボランティア行きに。
そこから、母子は別居で風邪との闘いに突入。
ミルクをあまり飲まず、一時は仔猫たちの命が危ぶまれたりもしたけれど、持ち直して育ってくれた。
5匹の仔猫たちはワクチン接種とウイルス検査を保健所で済ませて、8月19日に東京へ。
チョビヒゲ不人気で「サイ」が何ヶ月も里親が決まらず居残っていたけれど、現在は全員が里親さんに引き取られている。
一方、母猫よなみーは……
……未だ、誰からも里親希望はきていない(施設にいるよ~)。