中間テスト初日、二時間目、国語のテスト。
(国語は余裕で欠点を回避できるわ)
涼香にとって欠点(二十九点以下)さえ取らなければ百点や三十点など変わらない、百点は取ったことないけれど。
一時間目の英語に関してはもう諦めている、勉強をやってもやらなくても欠点だ。それならやらない方がいいに決まっている。
逆に得意な教科は勉強をやらなくても欠点を回避出来るため、勉強はやらないのだ。
そして国語は後者に入る。
そんなことを考えていると、テスト用紙が回ってきた。涼香は用紙を回しながら、とのある記憶を思い出す。
ある日のテスト期間中、下校時の電車にて。
「ねえ
突然そんなことを言い出した涼香に対して涼音は、いつもテスト前に同じこと言ってるな、と思いながらいつも通り聞き返す。
「なにがですか?」
「いつも時間がギリギリなのよ」
「いや、それは先輩が寝ているからじゃないですか」
「寝ていないわよ、瞬きをしていただけよ」
テスト用紙を伏せたまま待機する涼香はどうしたものかと考える。昨日はよく寝た、そのおかげか、英語のテストの時も今も、眠気は全く姿を見せない。
国語のテスト中に時間が飛ぶことなんて毎度ことだし、それでも欠点を取らないのだから問題は無いのだが、記憶が飛ばないにこしたことはない。
そしてテストが始まる。涼香は強い気持ちを持ってテストに挑む。
先に文を読んでから問題に取り掛かる、涼香はいつも通りにテストを解いていく、眠気は全くない。
問題の四分の一を解き終え、時計を確認する。まだ十分しか経っていない、このペースで行けば見直しの時間も取れる、そう思いながら時計を見ていた。
――時計が残り時間十分をさしていた。
涼香は急いで解答用紙に目を向ける。解答用紙は四分の一しか埋まっていなかった。
どうして? そんな疑問を押さえつけながら問題を解くのに頭を使う。凄まじいスピードで解答用紙を埋めていく。少し考える問題は飛ばして、反射的に解ける問題を先に片付けていく。
そしてテスト終了のチャイムが鳴る。
ギリギリ間に合った。シャーペンを机に置きながら深く息を吐く。
(今回もやられてしまったわね……)
今日のテストは次で最後だ、最後の教科は英語理解、解答用紙を渡しながら、涼香はテスト終わりどうしようか、と少し先の未来に思いを馳せるのだった。