あるゲームセンターにて。
「メダルが無くなってしまったわ」
空になったカップを振りながら、
さっきまで涼音と並んでプッシャーゲームをしていた涼香が「一攫千金してくるわ!」と、自信満々に涼音から貰ったメダルを持って他のメダルゲームをプレイしに行ったのだがこのザマである。
「えぇ……」
よくあれだけのメダルを溶かせたな、という目を涼香に向けながら、とりあえず隣に座るよう促す。
そして空っぽのカップにメダルを入れてあげる。涼音はメダルを大量に消費しているが、それ以上に戻ってくるのである。
「ありがとう」
そう言って涼香は再び他のゲームへ向かう。その背中はどこか頼もしかった。