ある日の夜、
涼音の言っていた通り確かに面白い、涼香も一気に三巻まで読んでしまうほどに。
(やっぱりこの主人公、どことなく涼音に似ているわよね?)
丁度読んでいるページが、いつも天真爛漫な主人公が曇っているところだ。主人公が一人で学園を散歩している最中、用事があると言っていたお姉様が見知らぬ生徒と親しくしていた場面を見てしまったのだという。
(やっぱり似ていないかしら?)
涼香が知らないうちに出かけたりしているのが発覚すると、涼音にいつも聞かれる。どこに行ったのか、誰と行ったのか、など。
しかし、その時の涼音は曇るというか少し怒っているような感じだ。昔、涼香が盛大に迷子になったことがあるせいで心配してくれているのだろう。そう考えると涼音とこの漫画の主人公は似ていない。
それに用事があると言って、なにも教えてくれないのは涼音の方だ。
(やっぱり似ていないわね)
雑に結論を出した涼香は、漫画に意識を戻すのだった。