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涼香の部屋にて 6

 ある日の休日。


「雨、止まないわね」


 ベッドの上から窓の外を眺めている涼香りょうかが、ため息と共に漏らす。


「梅雨ですからねー」


 ベッドに顎を乗せた涼音すずねが雨が降る音に耳をすませながら答える。


 今は六月、梅雨の季節。ジメジメした空気が身体を重くする。


「ねえ涼音」

「なんですか?」

「出かけてみる?」

「えー、まあ……いいですけど」


 渋々といった様子で頷いた涼音。頷いたはいいものの、涼香も涼音も動く気配がない。


「どこに行きましょうか?」

「無難にショッピングモールですかね」

「そこしかないわよね」


 しかし二人共動く気配はない。


「今何時?」


 涼香の問いかけに、なんとか時間を確認する涼音。


十三いち時ぐらいですね」

「お昼ご飯食べてから行きましょうか」

「そうですね」


 涼音が重い身体で立ち上がりながら――。


「お昼ご飯はなにがあるんですか?」

「カップラーメンがあったはずよ……」


 ベッドにダイブする。


「先輩」

「どうしたの?」

「やっぱり外に食べに行きませんか?」

「そうね……」


 涼香は身体を起こしておくのも疲れて横たわる。


「えい」


 なんとなく涼香の脇腹を突っついてみる。


「ふへぁ」

「あははっ……、はぁ……」

「……ひと眠りしてから行きましょう」

「さんせーい」


 二人は惰眠を貪ることにした。

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