ある日の休み時間。
『次の休み時間。会いに行ってもいい?』
『どこでですか?』
『どこがいいのかしら?』
『えぇ……』
『仕方ないのよ。理由も無く涼音に会いたいのだから』
『じゃあ先輩のクラスに行きますね』
『それだといつもと変わらないではないの』
『ダメなんですか?』
『たまには違う場所で会いたいと思わない?』
『全く』
『素直になりなさい』
涼音は文字を打ちかけたがすぐにその文字を消した。
涼香のことだ。どうせクラスメイト達にトークを見せびらかしながら打っているのだろう。
『素直ですよ』
『私は涼音のことならなんでもわかっているのよ?』
『あたしも先輩のことならなんでもわかっていますよ』
……そこまで言うのなら他に誰もいないのかな?
涼音はたっぷり悩んだ挙句。
『屋上前の階段』
とだけ送る。
机などが積まれていて人も来ないだろう。来たとしても三年生だから、騒がしくなることはほとんどないし。
『決まりね☆』
涼香が得意気に微笑んでいる気がした。