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スーパーマーケットにて

「やっぱり私はシーフードね」


 ある日の学校からの帰り、涼香りょうか涼音すずねは近所のスーパーマーケットに来ていた。


 なんとな~く寄ったスーパーの、なんとな~くやって来たカップ麺売り場で、涼香のドヤ顔が炸裂する。


「なら買ったらいいじゃないですか」


 シーフードのカップ麺と塩味のカップ麺を涼香に持たせる涼音。


「夜更かしして食べようかしら」


 塩味のカップ麺を棚に戻して、二個目のシーフードのカップ麺を取る。


 すかさず涼音がカレー味のカップ麺を涼香に持たせようとする。


「そんなに食べられないわよ」


 カレー味のカップ麺を棚に戻して、三個目のシーフードのカップ麺を取る。


「なんで全部シーフードに変えるんですか?」

「なんでって……私はシーフードが好きなのよ?」

「あたしは他の味がいいです」

「それなら買いなさいよ」

「え、だから――」


 そう言って涼音がカップ焼きそばを涼香に持たせる。既にカップ麺を三個持っていた涼香は抱えるように持っていた。


「待って涼音。……もしかして、私に買わせようとしているの?」

「え? はい」


 なにを言っているんだこの人は。という顔をする涼音に、恐ろしいものを見たような表情を向ける涼香。


「反抗期……⁉」

「とは言いませんね」


 まあ冗談ですよ、と言いながら涼香の抱えるシーフードのカップ麺を棚に戻していく涼音。


「ちょっと待ちなさい。どうして棚に戻すのよ」


 涼音が戻したカップ麺を慌てて取る。


「えぇ……」

「早くレジに向かいましょう」


 涼香に置いて行かれそうになった涼音は一瞬悩んだ後、涼香の持つカップ麺を二個取って一緒にレジへ向かうのだった。

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