ある日の朝。
「弁当持ちました?」
確認するといってもお弁当を持ったかの確認ぐらいだ、その他の物を忘れてもなんとでもなる。
「ええ、バッチリよ」
大きく頷く涼香だったが。
「中身見せてください」
涼音は涼香のリュックを半ば強引に開く。
「……スッカラカンですね」
中には暑い時に扇ぐ用の下敷きと筆箱のみ、弁当箱など影も形もなかった。
すると髪を払った涼香は家の中へと戻って行った。程なくして、涼香は弁当と水筒を両手に持って出てきた。
「それでは行きましょうか」
それを確認した涼音が最寄り駅へと向かおうとする。
「ちょっと待って、入れてくれないの?」
「自分で入れたらいいじゃないですか」
「面倒なのよ」
入れて、と涼音に背を向ける涼香。
涼音は渋々、受け取った涼香の弁当箱と水筒をリュックに入れてあげる。
「ありがとう」
「どういたしましてー」
今度こそ最寄り駅へと向かうのだった。