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平日の朝にて 2

 ある日の朝。


 涼香りょうかを迎えに行った涼音すずねが、いつも通り忘れ物が無いか確認していた。


「弁当持ちました?」


 確認するといってもお弁当を持ったかの確認ぐらいだ、その他の物を忘れてもなんとでもなる。


「ええ、バッチリよ」


 大きく頷く涼香だったが。


「中身見せてください」


 涼音は涼香のリュックを半ば強引に開く。


「……スッカラカンですね」


 中には暑い時に扇ぐ用の下敷きと筆箱のみ、弁当箱など影も形もなかった。


 すると髪を払った涼香は家の中へと戻って行った。程なくして、涼香は弁当と水筒を両手に持って出てきた。


「それでは行きましょうか」


 それを確認した涼音が最寄り駅へと向かおうとする。


「ちょっと待って、入れてくれないの?」

「自分で入れたらいいじゃないですか」

「面倒なのよ」


 入れて、と涼音に背を向ける涼香。


 涼音は渋々、受け取った涼香の弁当箱と水筒をリュックに入れてあげる。


「ありがとう」

「どういたしましてー」


 今度こそ最寄り駅へと向かうのだった。

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