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昼休みにて 4

 今は昼休み。生徒達は昼食を食べ終え、思い思いに過ごしている。そんな中、ベンチで涼音すずねに膝枕をされている涼香りょうかが眩しそうに目を細める。


「ねえ涼音、眩しいわ」


 そう言われた涼音が無言で涼香の目を手で隠す。


「涼音が見えなくなってしまったわね」


 そう言われた涼音が指の隙間を開ける。


「隙間からの日光が眩しいわ」

「どうしたらいいんですか?」


 手で隠したら見えないと言われ、隠さないと眩しいと言われる。


「こうしたら解決よ」


 涼音の腕を軽く引く。どうしました? と身体を曲げ、近づいた涼音の顔を涼香は自分の真上に動かす。


「身体が痛いです」

「でも近くで涼音の顔が見たいのよ」

「身体が痛いです」

「……わがままね」


 むくれる涼香を放って背筋を伸ばす。本当は周りが見えなくなるから俯きたくないのだが、一応、頭で影を作ってあげる。


「今は、この距離で我慢してください」

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