今は昼休み。生徒達は昼食を食べ終え、思い思いに過ごしている。そんな中、ベンチで
「ねえ涼音、眩しいわ」
そう言われた涼音が無言で涼香の目を手で隠す。
「涼音が見えなくなってしまったわね」
そう言われた涼音が指の隙間を開ける。
「隙間からの日光が眩しいわ」
「どうしたらいいんですか?」
手で隠したら見えないと言われ、隠さないと眩しいと言われる。
「こうしたら解決よ」
涼音の腕を軽く引く。どうしました? と身体を曲げ、近づいた涼音の顔を涼香は自分の真上に動かす。
「身体が痛いです」
「でも近くで涼音の顔が見たいのよ」
「身体が痛いです」
「……わがままね」
むくれる涼香を放って背筋を伸ばす。本当は周りが見えなくなるから俯きたくないのだが、一応、頭で影を作ってあげる。
「今は、この距離で我慢してください」