ある日の休み時間、職員室に行っていた
「ふゔっ」
丁度顔の高さで張られていたラップに突っ込んだ。
このイタズラは数年前に流行ったものだが、まさか未だに仕掛けてくる人間がいるとは。
「おー、見事なかかりっぷり」
クラスメイト達は、まあ予想通りだな、と特に面白がるわけではなく感心していた。
「ちょっと、なにをするのよ」
顔を顰めた涼香がラップをくぐって教室へ入り、自分の席へ着く。
「忘れた頃にやるイタズラ作戦」
「それなら
なにが「それなら」なのか、その場の誰も理解できなかった。
「唐突だね。しかも最低だコイツ」
クラスメイト達の呆れた視線を受け流しながら涼香は涼音にメッセージを送る。
『会いたいから教室に来て欲しいわ』
そう送ると、すぐさまスタンプで返事が届いた。
「涼音が来るのが楽しみね……」
不敵に微笑む涼香だった。
「来ましたよ」
ラップをくぐりながら教室に足を踏み入れた涼音。
「なんで避けるのよ!」
ダンっ、と机に額をぶつける涼香。
「ちょっ、え? 急にどうしたんですか」
「私が馬鹿みたいではないの……」
「え、馬鹿じゃん」「今更?」「自己紹介ありがとう」
口々にクラスメイト達の言葉を受ける涼香の赤くなった額を擦りながら涼音も――。
「自覚あったんですね……」
追い討ちをかける。
「涼音の意地悪!」
涙を拭うふりをしながら教室を出ていこうと駆け出す涼香。
「ゔゅ」
そしてラップに突っ込む。
「えぇ……」
あまりにも綺麗なかかりっぷりに、クラスメイト一同は思った。
((((((((さすがにわざとだよね?))))))))