ある日のこと。
「いっ……⁉」
目薬をさそうとした
「相変わらず下手ね」
その様子を、私は余裕でさせるわよ、とでも言いたげな表情で見ていた
「今日はいけると思ったんですけどね……」
「ほら、来なさい。さしてあげるわ」
ぽんぽんと太ももを叩くと、涼音はキャップを閉めた目薬を渡し、涼香の太ももの上に頭を乗せる。
「目を開けなさい」
「いや……、怖いじゃないですか」
なかなか目を開けない涼音の目を指で広げて目薬を構える。
半ば閉じそうになっている涼音の目を強引に開きながら涼香は目薬をさそうとするが――。
「あら?」
「先輩……キャップ、ついたまま……です」
「……慣れる練習よ」
「えぇ……」
キャップを取った涼香が再び構える。
「いぃ⁉」
「大丈夫よ、目薬ではなく私を見て」
「目薬で見えないで――ぎゃあ!」
なんの合図もなく落とされた薬液は、ビビる涼音の眼球にクリーンヒット。目薬のせいか、はたまた別の理由があるのか、涙目の涼音が涼香を睨む。
「なんで言ってくれないんですか!」
「次は反対ね」
「ちょっと聞いてくださ――あぁい!」
「はい、瞬き」
涼香の声に従って、涼音は目をぱちぱちさせる。
その後、しばらくの間涼音のほっぺをむにむにする涼香であった。