梅雨が明けたのか分からないある日の通学中のこと。
曇り空の下で、じめつく暑さに身を茹でられながら
「もうちょっと……暑くなるの待てませんかね……!」
学校の最寄り駅から学校へと向かう途中、時間は八時頃。家を出た時間はまだそこまで気にならない暑さだったのだ。
「早く登校するべきかしら」
「先輩早起きできないじゃないですか」
「その通りね」
そんなだらだらとした会話を続けながら学校への道のりを行く。いつも通り周りの生徒達からの視線が刺さるが、今はそんなことどうでもよく、この蒸し暑さから解放されたかった。
「暑いわね、教室はクーラー効いているかしら」
「早く行き過ぎると効いてないですもんね」
「ということはギリギリに学校に行くしかないわね」
「電車の時間もありますし絶対先輩が遅刻するんで無理です」
ちなみに今日も涼香のドジのせいで一本電車を遅らせていた。
「
「いや学校は車で通学できないですよ」
涼香がハンカチで汗を拭きながら隣を歩く涼音に目を向ける。
「髪を切れば涼しくなるかしら」
「短くするんですか」
涼香がその綺麗な黒髪を切るのなら、涼音も髪の毛を短くしようかと思っている。
「今年の夏次第ね」
「そうですか」
そう思っていても、言うつもりが無い涼音はどうでもいいような態度をとるのだった。