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平日の朝にて 3

 ある日の朝、涼香は頭が覚醒しきっていない状態で納豆を混ぜていた。


 毎朝納豆ご飯を食べているため、この行為だけは眠っていてもできる自信が涼香にはあった。


「いたっ」


 などと思っていたのだが、いつも箸が納豆のパックを貫通してしまい手に刺さるのだった。


 空いた穴から納豆がこぼれ落ちる。しかしそれはいつものことだった。だから涼香は納豆を混ぜる時は、ご飯の上で混ぜるのだ。


 適当に混ぜた納豆をご飯の上にかけ醤油を少々、朝食の完成だった。


 納豆でヌメつく手を洗い流した涼香は、椅子に座ってご飯を食べ始める前に納豆ご飯の写真を撮る。


 そして撮った写真を涼音すずねに送信する。


『ごはん』


 返信は来ない。ただ既読がついただけであった。


 納豆ご飯を食べ始める。少しすると、涼香のスマホから通知音が鳴る。確認してみると、送り主は涼音で、写真が一枚送られてきたようだった。


 送られてきた写真は、目玉焼きの乗ったトーストに、ミニトマトとレタスの乗ったお皿、その横にはフルーツが盛られている小鉢が写ってる写真だった。


『食べに行ってもいい?』

『学校行く準備してください』


 即答されてしまった。


 仕方なく、涼香は朝食を食べ始めるのであった。

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