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駅のホームにて 2

 ある日の通学時、電車から降りた涼香りょうか涼音すずねはホームから改札に向かうため、階段へと向かっていた。


 階段はホームの両端にあり、二人が電車から降りた位置はちょうど間だ。


 階段の位置で降りると、周りから人が殺到してスムーズに歩けず危ないため、わざと二人は階段から離れた位置で降りるのだ。


 そんな粗方人が降りていった駅のホームを歩く。そして、階段まで差し掛かり階段を降りるため、百八十度方向転換。


「ふぐっ」

「えぇ……」


 階段の柵の際で方向転換した涼香の肋付近に、ステンレスの柵が当たってしまった。幸いにも角が丸い柵だったため、痛みは無いが脇腹や肋付近が弱い涼香にはダメージは大きかった。


「なんで今更当たるんですか」

「コーナーで差をつけようと、インコースを攻めすぎたからかしら」


 口元を拭う仕草をしながら、不敵な笑みを浮かべた涼香は答える。


 涼音は、なに言ってんだこの人、と言いたげな目を向けながら、涼香の腕を掴んで階段を降りるのだった。

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