ある日の通学時、電車から降りた
階段はホームの両端にあり、二人が電車から降りた位置はちょうど間だ。
階段の位置で降りると、周りから人が殺到してスムーズに歩けず危ないため、わざと二人は階段から離れた位置で降りるのだ。
そんな粗方人が降りていった駅のホームを歩く。そして、階段まで差し掛かり階段を降りるため、百八十度方向転換。
「ふぐっ」
「えぇ……」
階段の柵の際で方向転換した涼香の肋付近に、ステンレスの柵が当たってしまった。幸いにも角が丸い柵だったため、痛みは無いが脇腹や肋付近が弱い涼香にはダメージは大きかった。
「なんで今更当たるんですか」
「コーナーで差をつけようと、インコースを攻めすぎたからかしら」
口元を拭う仕草をしながら、不敵な笑みを浮かべた涼香は答える。
涼音は、なに言ってんだこの人、と言いたげな目を向けながら、涼香の腕を掴んで階段を降りるのだった。