ある日の夢の中で。
「
膝の上に座る
涼香はそんな涼音の頭を撫でながら、天に向かって吠える。
「この可愛さを皆に見せてあげたい!」
涼香の夢の中に出てくる涼音は大体このような状態だった。
今となっては、二人きりの時でさえ涼音のこんな姿は見ることができない。
「やだ、涼香ちゃんにだけ見てほしいの」
駄々っ子のような声を出しながら、涼音がぐりぐりと頭で涼香の首辺りを攻撃する。
「ちょ、ちょっと、痛いわよ」
「だって涼香ちゃんが意地悪言ってくるんだもん」
確かこんな感じで甘えて来ていたのは小学生の頃だったか。
家はすぐそこにもかかわらず、校区の関係で小学校が違った涼香と涼音。学校から帰ると、いつも涼音が涼香の家に遊びに来て、こうして甘えてきたのだ。
「昔を思い出すわね」
そうやって涼香が涙を流すまいと顔を上にあげると、隕石が落ちてきていた。
空を見上げた涼香の動きが止まる。恐ろしいものを見たような表情の涼香は来る衝撃に涼音を抱きしめて備える。
けたたましく鳴り響くアラーム音に涼香は飛び上がる。
急いでアラームを止めた後、スマホを投げ飛ばして布団を被る。いくら夢の中で備えても、やはりアラーム音は苦手だった。
「もうっ」
いつもいいところでアラームに邪魔をされる。なんだかむかむかしてきた涼香は、さっさと学校に行く準備をするためにベッドから降りるのだった。