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体育祭にて 4

「お疲れ様」


 競技を終えた後、三年生の席へとやってきた涼音すずね涼香りょうかが迎えた。


「豊作だったわ」


 微笑んだ涼香が撮った写真を涼音に見せる。


「何枚撮ってるんですか」


 スマホの画面を手で隠しながら涼香の隣の席を借りる。


「来年の卒業アルバム用に寄贈するわ」

「やめてくださいよ」


 体育祭午前の部はさっきの障害物競走で最後だった。これから一時間半の休憩を挟んで午後の部がスタートする。


「次の競技が楽しみね」

「いや、宝探しは写真撮れませんよね?」


 午後の部最初の競技は、二年生の学年競技である宝探しだ。もちろん学年競技のため、二年生の涼音は参加しなければならない。


 ルールは簡単。校舎内のどこかに隠されている宝を持ってくるという競技。


 宝にはそれぞれ点数が設定されており、その点数が自分のクラスの点数に直接反映されるというもの。


「それはどうかしら」


 涼香が不敵な笑みを浮かべる。


「なんとな〜く先輩がなにをするのかが分かります……」

「やめて、言わないで。面白くないわ」

「もうすでに面白くないんですけど……」


 答え合わせは約一時間半後、涼音は沈鬱な気分で昼休みに突入するのだった。

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