「お疲れ様」
競技を終えた後、三年生の席へとやってきた
「豊作だったわ」
微笑んだ涼香が撮った写真を涼音に見せる。
「何枚撮ってるんですか」
スマホの画面を手で隠しながら涼香の隣の席を借りる。
「来年の卒業アルバム用に寄贈するわ」
「やめてくださいよ」
体育祭午前の部はさっきの障害物競走で最後だった。これから一時間半の休憩を挟んで午後の部がスタートする。
「次の競技が楽しみね」
「いや、宝探しは写真撮れませんよね?」
午後の部最初の競技は、二年生の学年競技である宝探しだ。もちろん学年競技のため、二年生の涼音は参加しなければならない。
ルールは簡単。校舎内のどこかに隠されている宝を持ってくるという競技。
宝にはそれぞれ点数が設定されており、その点数が自分のクラスの点数に直接反映されるというもの。
「それはどうかしら」
涼香が不敵な笑みを浮かべる。
「なんとな〜く先輩がなにをするのかが分かります……」
「やめて、言わないで。面白くないわ」
「もうすでに面白くないんですけど……」
答え合わせは約一時間半後、涼音は沈鬱な気分で昼休みに突入するのだった。