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体育祭にて 6

 体育祭の全競技が終わった。


 肝試しを制覇したここねは、菜々美ななみに付き添われて保健室で休んでいる。


 閉会式はそのまま体育館で実施され、椅子に座ったまま簡単に終わらせる。


「終わってしまったわね……」


 生徒達が片付けをしている中、涼香りょうかは名残惜しそうにその光景を眺めている。


「疲れました。早く帰りたいです」


 そんな感傷的な涼香などお構い無しに涼音すずねが言う。


「お疲れ様。この後お寿司を食べに行くわよ」

「えぇ……。打ち上げって後日じゃないんですか」

「そうよ。今日は打ち上げとは別で菜々美がご馳走してくれるのよ」

「なにをやったんですか……⁉」

「ちょっとしたお礼よ」


 ほんまかいな、という目を涼香に向けると。


「はーい二人とも、早く片付けーい」


 やってきた若菜わかなが二人に片付けるよう促す。


「任せなさい」

「任せてください」


 同じ言葉だが、含まれる意味が全く違う二人は後片付けに勤しむのだった。

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