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昼休みにて 7

涼音すずねに友達ができて私は嬉しいわ……」

「だーかーらー。別に友達じゃないですって」


 昼休み。三年生の教室で涼香りょうかと涼音は昼食を摂っていた。


 先程の休み時間、涼音が夏美なつみの相談に乗っていた時に見た光景を思い出しながら涼香が言う。


「友達よ。相談に乗っていたんでしょう?」

「そうですけど、それで友達って飛躍しすぎですよ」


 そう言って涼香が差し出したウインナーを食べる。


「そうかしら?」


 涼音は卵焼きを一切れ涼香に差し出す。


「……そうですよ。別に、同学年に友達なんていりませんし」

「……美味しいわね、この卵焼き」

「それは良かったです」

「それで? どういう相談に乗っていたの?」


 なにがそれで? なのだろうか、一瞬固まった涼音は肩をすくめると答える。


「別に相談っていう相談じゃなかったですよ。これといったことも言えませんでしたし」

「あら、はぐらかすのね」

「人の悩み相談は他の人に言うもんじゃないですよ」

「ふふっ、そうよね」


 涼香は満足そうに微笑むと優しく涼音の頭に手を伸ばすが――。


「今はやめてください」


 涼音にその手を払われる。


「あら残念」


 どこか嬉しそうな涼香。そんな涼香を見ていた涼音が眉根を寄せる。


「なんなんですか」

「別になんでもないわよ。早くお昼ご飯食べてしまいましょう」


 こうしていつも通りの日常へと戻るのだった。

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