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涼香の部屋にて 15

 愛してるゲームとは、目の前の相手に『愛してる』と言い、照れたり笑ったりしたら負けのゲームである。


涼音すずね! 愛してるゲームをしましょう!」


「……」


「涼音?」


 ある日のこと。


 涼香りょうかの部屋のベッドで寝転んでいた二人。涼香はトイレに行っている最中、ふと思いついたのだ。


 愛してるゲームをしよう――と。


「あら、ぐっすり寝ているわね」


 思いついたはいいが、相手の涼音は夢の中。


 涼香はどうしたものかと、寝息を立てる涼音の頬を撫でる。


「ん……」


「ふふっ」


 むず痒そうに手を動かす涼音、その様子を見た涼香は口に手を当て笑う。


 そして涼音の耳元へ顔を近づけ一言。


「愛してる」


 もう一度。


「愛してる」


 もう一回。


「愛してる」


 あそーれ。


「愛してる」


 あらよっと!


「愛してる」


 もういっちょ!


「愛して――ぶふっ」


 まるで悪夢でも見ているかのように顔をしかめた涼音の手が涼香の頬を打つ。


「うぅん……」


「反抗期――⁉」


 頬を押さえた涼香は、恐ろしいものを見たような表情を浮かべるのだった。

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