ある日の夜のこと。お風呂から上がってきた
「こっちに来なさい。お姉ちゃんが乾かしてあげるわ」
クーラーの効いている部屋で、中学時代の体操服を着た涼音が、扇風機の風を受けながら火照った体を冷ましていく。
「あっつ~い」
部屋の温度は低く、冷たい風に当たっているはずなのに汗がじわりじわりと滲み出てくる。
「どうして無視するのかしら?」
軽く汗が引いた涼音は、ドライヤーで髪を乾かすために再び洗面所へ向かおうとドアノブに手を伸ばす。
「ど う し て! 無視するのかしら」
その手を掴むのは
「あ、先輩いたんですね」
ドアノブから手を離した涼音が涼香の方を見て言う。
「しらじらしいわね。何度か目が合ったではないの」
「そうなんですねー。それはそうと髪の毛乾かしてきていいですか?」
再びドアノブに手を伸ばした涼音の手を、涼香はまた掴む。
「なんですか」
「お姉ちゃんが乾かしてあげるわ」
明らかめんどくさそうな顔をする涼音だったが、そんなこと知ったことかと、涼香は涼音を引っ張ってベッドにシュート。
「ふぎゅっ」
その隙に涼香はドライヤーを洗面所へ取りに行くのだった。