ある日のこと。
「先輩! 急いでください!」
朝の通学路を走っていた
「待って……あっつい……暑いわ……!」
朝とはいえ今は七月、ものすごく暑い。
「電車に遅れますよー!」
「いいではないの……次の電車で間に合うのだから」
「普通に間に合うかギリギリ間に合うかだったら、普通に間に合った方がいいって言ったの先輩ですよ」
蝉のシャワシャワ鳴く音が間を取る。
「知らないわ!」
蝉の鳴く音を打ち消す程の勢いで声を張り上げた涼香。
「えぇ……」
「こんなに暑いのに、走ったらびっちょびちょになってしまうわ。だからゆっくり行きましょう?」
涼香はリュックから取り出したタオルで汗を拭いてる。
涼音も走っている最中は汗をかかなかったのたが、足を止めた瞬間に汗が吹き出る。
「もう手遅れのような気がしますけどね……」