「
ある日のこと。
唐突な涼音の言葉に、ここねは悩むそぶりを見せず笑顔で答える。
「優しくてわたしのことを大切にしてくれるところだよ!」
「わあ即答ですね」
「本当はもっともっとあるんだけどねえ」
菜々美の好きなところを語れば恐らく一日中話せるここねだが、あまり話しすぎると菜々美が爆発してしまうため、簡単に答えることしかできない。
ここねが菜々美に向ける感情は、菜々美がここねに向ける感情に負けず劣らず相当なものである。
「おお、例えば?」
「あんまり話すと菜々美ちゃんが爆発しちゃうんだけど――」
そう前置きしてここねはいくつか語りだす。
「二人っきりだと、そんなことまでできるんですね……」
ここねの話を聞いた涼音は、驚きに目を見開いて声を漏らした。
「えへへ、二人だけの秘密だよ?」
ここねは片目を閉じると、人差し指を唇に当てて微笑むのだった。