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放課後にて 10

芹澤せりざわ先輩って柏木かしわぎ先輩のどういうとこが好きなんですか?」


 ある日のこと。涼香りょうか菜々美ななみを連れて職員室へ行ったため、残された涼音すずねは同じく残されたここねにふと思ったことを聞いてみた。


 唐突な涼音の言葉に、ここねは悩むそぶりを見せず笑顔で答える。


「優しくてわたしのことを大切にしてくれるところだよ!」

「わあ即答ですね」

「本当はもっともっとあるんだけどねえ」


 菜々美の好きなところを語れば恐らく一日中話せるここねだが、あまり話しすぎると菜々美が爆発してしまうため、簡単に答えることしかできない。


 ここねが菜々美に向ける感情は、菜々美がここねに向ける感情に負けず劣らず相当なものである。


「おお、例えば?」

「あんまり話すと菜々美ちゃんが爆発しちゃうんだけど――」


 そう前置きしてここねはいくつか語りだす。



「二人っきりだと、そんなことまでできるんですね……」


 ここねの話を聞いた涼音は、驚きに目を見開いて声を漏らした。


「えへへ、二人だけの秘密だよ?」


 ここねは片目を閉じると、人差し指を唇に当てて微笑むのだった。

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