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檜山家にて 3

 シャワーを浴び終えた涼香りょうかは、手作り料理を用意してくれていた涼音すずねと、昼食を摂っていた。


「あたしも明日学校に行きますね」


 そう言って豚の生姜焼きを齧る涼音。


「あら、どうしてまた」


 付け合わせのトマトを飲み込んだ涼香が返す。


「先輩が変なことしないようにですよ」


 もぐもぐと口を動かしながら涼音が答える。


 変なことをしないように、と涼音は言っているが、涼香には、その『変なこと』がなんなのかが分からなかった。


「そう、でも暑いわよ?」

「まあそれはそうなんですけど。そもそも先輩が変なことしなければあたしも学校に行かなくてもいいんですけどね‼」


 そう捲し立てて麦茶を一気に飲み干す涼音。


「私は別に変なことしていないわよ」

「自覚無いんですか……?」


 肩をすくめる涼香に、涼音は眉をひそめる。


「夏美に涼音のことを聞いただけよ」

「それが変なことなんですー!」


 頭を抱える涼音。


「私は涼音が友達に会うと言ってくれて嬉しいわ」

「だから友達じゃないですって!」

「それはそうと、美味しいわね、この生姜焼き」

「話の逸らし方が強引すぎる‼ でもありがとうございます!」


 とりあえず昼食を味わう二人であった。

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