翌日。宣言通り、
「あっつい……! こんな暑いのによく学校に行けますね」
涼香も行きたくて学校に行っている訳ではないのだが、そのセリフが似合う人物は他にいる。
「行かなくてはならないのだから仕方がないわ」
「それは回避できた問題なんですけどね」
「全て計算の内よ」
「数学の再テストの癖に」
「それすら計算の内よ!」
「はいはい」
地面に水溜まりができそうな量の汗をタオルで吸い取りながら、涼香と涼音は三年生の教室へと向かう。
今日の小テストは数学。ちなみに小テストの再テストだ。
本当なら、合格するまで何度でも再テストを繰り返すのだが、涼香は早く帰りたいとのことで、別の日に、ということになった。
こういう時、教師から謎に信頼されているのは便利である。
「今日で合格できるんですかあ?」
「安心しなさい。助っ人がいるわ」
「そんな都合よく教えてくれるんですか?」
「涼音が来てくれたから大丈夫よ」
「はあ……」
涼音にはなんのこっちゃ分からんのだが、涼香が大丈夫と言うのだから大丈夫なのだろう。
そんなこんなで涼香が向かったのは、自身の所属するクラスではなく隣のクラス。
「来たわよ!」
勢いよくドアを開けると、少しだけ冷たい空気が出迎えてくれる。
教室の中には、思いっきり顔を顰めてる
「
懐いている犬のように涼音の下へ夏美がやって来る。
「はあ……」
「友達を見てその反応。ツンデレね」
「心からの反応ですよ」
「檜山さん会いに来てくれたんだね!」
夏美は涼音の手を取って上下に激しくシェイク。
彩にも引けを取らない程の顰めっ面を涼音は返すのだった。