Fクラス皆での、タートルリゾート1泊2日旅行から一週間が経った。
つまり今は、明日からの学園に備えて、色々と準備している休日の夜。下宿の食卓で、今、俺がしている事は、
「た、食べきったぁ……」
「お疲れ様です、ご主人様」
今週のスキルの使用、そして消費である。改めて、ここ一ヶ月の
1週目 【○餅】
2週目 【○米】
3週目 【○麺】
と、食べ物が続き、4週目、つまり今週のお題は、
【○粉】
だった。……いや2週目も3週目もキツかったけど! 2週目の【○米】は米俵をモンスターにぶん投げたり、3週目の【○麺】スキルは、クモのヒーローみたいに使えたりはした!
でも、粉は、粉はさぁ、ほと
「なんでこんなに主食っぽいもの続くかなぁ……」
と、俺は、
食べきれないと、次の
食は必ずしも幸福を生まない、を、身を以て――腹を以て知る。
「ひ、ひとまず、ご主人様、次のスキルのお題を確認を致しましょう」
「そうだね……」
レベルアップして、漢字一文字固定って条件を聞いた時は、無邪気に喜んだけどさ、実際はレベルアップ前の方が縛りがゆるかった気がする。
とりあえずステータス画面を開いて、スキルの項目を選んでと、
ああ、今まで通り、明日からのお題が予告されている。次はどんな食べ物なんだろう――
【○聖】
……え?
「……ご主人様?」
メディが話しかけてきたけど、俺はそれに返事が出来ない。完全に、頭がフリーズしている。
もう一度、念の為に、明日から使えるお題をチェックする、
――スキルの説明欄にあったのは
【○聖】スキル Sランク
スキル解説[何回でも可]
「うわぁぁぁ!?」
「ご、ご主人様、どうされました!?」
「お、お題が、聖だ!
「せ、セイって、"聖"女様のセイですか!?」
「そのセイ!」
俺は驚くし、メディも驚く。そりゃそうだよ! また食べ物系の無理ゲーかと思ったら――それこそ俺がレベル3になった時に想像した――【○聖】スキルの使い放題!
「しかも一日何回でもOKだって!」
「何回も!?」
どうしたのこのセイラ様の大判振る舞い!? 俺の心の中で、
「お、お喜びの所申し訳ありません! メイド長に教わりました、大いなるスキルには大いなる責任がどうとかこうとか!」
「あ、それ、俺も
「ですが
「ああうん、あとそれと、なんの【○聖】を使うかも、しっかり考えなきゃ」
興奮と戸惑い、そして、その中にある確かな喜び、
「ご主人様、これはきっとご主人様のスキルを、レベルアップさせるチャンスです」
「うん、俺もそんな気がする!」
「どうか私にそのお手伝いを、ああ、私も気持ちが昂ぶります!」
今までの俺のスキルは――何でも有りかに見えて、実際は制限、縛りが多かった。だけど今度の一週間はそうじゃない。
これがセイラ様の、何か意図あってのお題なのか、それとも気まぐれなのか、
――そこは重要じゃない
(問題はこのチャンスを、自分の意思で活かす事)
俺はセイラ様の為にじゃなくて、自分の為に、そして、
メディや、Fクラスの皆のために、この
「よろしく、メディ」
「はい!」
そう俺達が、決意を新たにした時、
――突然
「お兄ちゃぁぁぁん!」
俺を呼び叫ぶ声と共に、
――ドガァァァァッ! っと、
玄関のドアが! 燃えて壊されてテーブルまで吹っ飛んできた!?
「え、ええ!?」
無くなったドアの向こうには、ドアを叩き壊したであろう、燃えるハンマーを持ったフィアルダが、
――涙を流しながら俺達を見ていて
「え、ど、どうしたフィア!?」
「何事ですか!?」
フィアの余りの様子に――頭に乗せたチビドラゴンも悲しそうにピキャー!って泣く様子に――俺達はドアを壊された事よりも、フィアを心配して声をかけたが、
次の瞬間、
「――お姉様が」
もたらされた言葉に、
「死んだ」
俺とメディの、さっきまでの喜びは吹き飛び、そして、
「お姉様が、スライムに殺された!」
俺のからっぽの心を、冷たいもので満たしていった。
【○聖】スキル Sランク Lv3
スキル解説[一日何回でもOK]
アルズハート
[【笑顔】【賞賛】【真実】【○○】【○○】【○○】【○○】]