ギン達はそれぞれ組み分けを行い、魔物の残したものがないかを捜索していた。そんな中ルルーとムルカが村の中を歩いていた。
「ムルカ様、それらしきものはまだ見つかりませんね」
「うむ、だが私はこの惨状を見て痛ましく感じるがな」
「私もです。もし本当に魔物を操れる者がいるとしたら私はその者を許せません」
「ルルー……」
ルルーの魔物を操る者がいるという事実があるという前提で怒りを露わにし。それをムルカは黙って聞いている。
「今この国はブロッス帝国との戦争状態です。にも関わらず魔物を使役し村人を襲わせる卑劣な行為を許すわけには参りません」
「ルルーよ貴殿の使命感は誇りに思う。だが我々もおることを忘れるな」
「ムルカ様、はいもちろんムルカ様やみんなの事は信じております」
そんな時ルルーは何かを語りだす。
「みんなと会えたことはきっと私にとっても大きなことでした」
「どうした突然?」
「はい、ミッツ教団の方々意外に私にとって信じられる仲間ができたことが私にとっては大きいんです。8歳より10年間ミッツ教団内で生きてきたものですから」
「そうか」
ムルカはルルーの言葉を優しい表情で聞いており、嬉しく思っていた。
ルルー達が捜索している頃、ギンとエイムも捜索をしていた。
「ギンさん……」
「どうしたんだ?」
「一体どれほどの方が亡くなられたのか考えると悲しくなります」
「エイム、これ以上の悲しみが広がらない為に俺達がその魔物を討伐しなくてはならないんだ」
ギンの言葉を聞いて、エイムも強い決意を示す。
「そうですね、私達が頑張らないとだめですよね」
ギンとエイムが歩いていると突如少年がギン達に声をかける。
「なあ、にいちゃん達」
「何だ?」
「何か御用ですか?」
ギン達の問いに少年が返事を返す。
「にいちゃん達、さっき井戸にいたよな」
「そうだが何だ?」
「実は俺、魔物のものを持っているんだ、ちょっと見てくれないか?」
そう言って少年がギン達に見せたのは魔物らしきものの毛であった。
「どうして、っていうかどこで拾った?」
ギンの問いに少年は涙を流しながら話した。
「と、父ちゃんの……死体を……み……つけた時に……父ちゃん……が手に……握っていたんだ」
疑問を感じたエイムが少年に尋ねる。
「どうして、それを……ええとお名前は?」
「アルだよ」
「どうしてアル君が持っているんですか?」
「父ちゃんを殺された悔しさと怒りを忘れねえためさ」
アルの言葉を聞き、ギンが語りかける。
「それが魔物のものならひとまず俺達に預からしてくれるか?事が終えればもちろん返す」
「いいけど、何をするか俺も見ていいか?」
アルの問いにギンはどう返すか?