カイスの指示を受けたトーラスとプラナは、土人形の討伐に向かっていく。その際にプラナがルルーに声をかける。
「我らがこいつらを引き受ける。貴様らはその民間人のそばを離れないようにしていろ」
プラナの言葉を聞き、ルルーが返答をする。
「分かったわ。だけど私ならここからでも魔法であなた達を援護できるわ」
「そう言って、我々を巻き込むつもりじゃないだろうな?」
「そんなことしたら、この人達が益々危険になるわ。そこは信じてくれる?」
「まあいいだろう、カイス様のご命令だからな」
そう言ってプラナは土人形に兵士と共に向かっていく。プラナが土人形に向かっていくのを確認してから団長がルルーに尋ねる。
「シスター殿、あのブロッス帝国だぞ、信用できるのか?」
「我らは幾度となく彼らと戦ってきましたが、彼らは民間人に危害を加えるような行動はとっていませんので、そこは信じて良いと思います」
「し、しかし魔物を討ち果たした後はどうするんだ?」
「彼らが戦いを望む以上我々は迎え撃つしかありませんが、何とかあなた方だけでも助かるようには尽力します」
ルルーは戦闘中は信じてよいという考えを示すが、戦闘終了後に魔導騎士団との戦いが勃発するようなら迎え撃つこと、そしてミックサック団を戦いに巻き込まないようにすると伝える。
そんな中、ヨナが部下たちに指示を出す。
「こうなったらあたしらも行くよ、半分はあたしと一緒に土人形にもう半分はミックサック団を守って」
「分かりやした」
「ウィルもあたしと来て!」
「おう」
そう言ってヨナと傭兵団の半数、そしてウィルが土人形に向かっていく。
その様子を見たルルーがウィルに呼びかける。
「ウィル!確かあなたは水を刃状にすることができるって言ってたけど、魔法によって生成された水でもできる?」
「やったことないけど、多分できると思います」
「今から魔法で水を放つから、お願いね」
そう言ってルルーは水の魔法を放ち、ウィルがその水に手をかざすと水が刃状に変形する。
完成した刃を見てウィルはルルーに礼の言葉を述べ、ヨナは感心する。
「すげえ、ありがとうございますルルー様!」
「やるじゃん」
ヨナに対しウィルは短剣を渡す。
「ヨナ、お前はこれを使え。魔法の弓は生きてる奴しか眠らないんだろう?」
「いいの、あんたの親父さんの武器だろ?」
「多分、親父はこういう状況も見越して俺にその短剣を渡したんだろう」
「そういう事なら大事に使わせてもらうよ」
トーラスやプラナは剣で土人形を斬っていくが、あまり手ごたえを感じなく、トーラスが言葉を漏らす。
「剣では効果が薄いか」
「トーラス殿、私が火の魔法で燃やしてみせます」
「頼むぞ」
「はっ!」
そう言ってプラナは火の魔法を放ち少数を焼き尽くすが、何体かを討ち漏らす。
そこにウィルとヨナが現れ、ウィルが水の刃で土人形を斬ると、手ごたえがあり、消滅していく。
その様子を見たトーラスがある事実に気付く。
「奴らの弱点は水か、水の魔法を使えるものはおるか?」
トーラスの言葉が聞こえたのかルルーが馬車から魔法を放つ準備をしている。
「私に任せて!」
そう言って、ルルーは水の魔法を放ち土人形は体が溶けていき、やがて消滅してしまう。
その様子を見て、プラナは言葉が漏れる。
「何という魔法の力だ……」
何とか土人形を撃破し、ひとまずミックサック団の安全を確保することには成功した。